クリストファー・ノーラン監督の最新作『TENET テネット』が世界公開されてから約2ヶ月。ワーナー・メディアのCEOジョン・スタンキー氏は『TENET テネット』の劇場公開が「成功しなかった」ことを認めているようです。Deadlineが報じています。
当初、2020年7月に公開される予定だった『TENET テネット』は、新型コロナウイルスの感染拡大により延期、2020年8月26日(現地時間)よりヨーロッパやアジアを含む世界58市場で順次公開となりました。
本記事執筆時点での『TENET テネット』の世界興行収入はおよそ3億5000万ドル。うち、本国アメリカでの興行収入は5060万ドル、海外で3億ドル近い興行収入を記録した形となっています。本作はパンデミック以来、甚大な被害を受けている映画業界から業界再興の期待を一心に背負った大型作品として公開されましたが、制作費に2億ドルかかっているということを考えればやはり苦戦していると言えるでしょう。
スタンキー氏は投資家向けの電話会議にて「『TENET テネット』での経験は決して”ホームラン”だったとは言えませんが…」としながらも「やってよかったと思っています。 制作チームは信じられないほどクリエイティブでした。自分たちに何ができるのか、いくつかのことを学べたと思います。」と前向きな意見を述べています。とはいえ、「 もし劇場が全国的にオープンしていれば、カリフォルニアとニューヨークの劇場がオープンしていればもう少し違った結果になっていたと思います…」とアメリカの主要市場の閉鎖に対する懸念の声も寄せています。
テネットの興行成績を受けて、各スタジオは『ブラック・ウィドウ』や『007 / ノー・タイム・トゥ・ダイ』など、秋冬に予定されていた多くの大型作品を軒並み2021年に延期することを発表。スタジオ側は、このタイミングで映画館に巨額の投資をして公開するのは現実的ではないと判断しました。ワーナー・ブラザーズは現時点で『ワンダーウーマン1984』の公開日をクリスマスに予定していますが、確実にその日に公開される保証はありません。今回のスタンキー氏のコメントは、今後の環境の変化によってはスタジオが『ワンダーウーマン1984』のリリースを再延期する可能性があることを示唆しています。
ニューヨーク州は現在、新型コロナウイルスの感染率が過去2週間にわたって平均2%を下回っており、クラスターが発生していない郡のみを対象に映画館の再開を許可していますが、はたしてワーナーは『ワンダーウーマン1984』を予定通りの公開に踏み切るのでしょうか。
source : Deadline