2021年に公開予定のMCU(MARVEL CINEMATIC UNIVERSE)フェーズ4作品『シャン・チー・アンド・ザ・レジェンド・オブ・ザ・テン・リングス』で初登場となるマーベル初のアジア人ヒーロー、シャン・チーが8年前に公開された最初の『アベンジャーズ(2012)』で紹介される機会があったことが明らかになりました。
『アベンジャーズ』といえばアイアンマンやキャプテン・アメリカ、ソーといったキャラクターが一堂に集結する、言わばマーベル・スタジオにとって最初の挑戦となった作品です。それぞれの作品が一つのユニバースという大きな世界の中で相互に結び付くという戦略はこの作品の成功にかかっていました。マーベル・スタジオ代表のケヴィン・ファイギ氏も『アベンジャーズ』公開後、その成功を受けて”MCUは巨大なフランチャイズになる”ことを確信したと言います。
当時マーベル・スタジオと共同で『アベンジャーズ』をプロデュースする話が出ていた中国の映像制作会社DMG Entertainment Motion Picture Groupの元社長クリス・フェントン氏は、著書「Feeding The Dragon」の中で当時のマーベル・スタジオ最高執行責任者ティム・コナーズ氏とのやり取りを振り返り、「『アベンジャーズ』のエンドクレジットシーンにシャン・チーもしくはマンダリンのどちらかを登場させることができた」と明かしました。
「コナーズから良い知らせがあったんだ。”我々がもっと予算を出せば『アベンジャーズ』のエンドクレジットに中国市場向けのティーザー(予告動画)を含めてもいい”ってね。それはマンダリンかシャン・チーどちらかを登場させるというもので、どちらを登場させるのかは我々が決めてよかったんだ。」
このマーベル・スタジオ側の提案は、巨大な中国市場での売り上げを重要視したことによる「サービス」だったと考えられる一方で、当初シャン・チー、マンダリンは『アベンジャーズ』後から登場する計画があったことになります。この提案に対しフェントン氏らDMG側は、悪役よりもヒーローを登場させた方が「中国の印象がいい」としてシャン・チーを登場させようとしていたそうですが、最終的にシャン・チーやマンダリンを登場させる話は流れてしまいました。中国でもサノスが紹介され、ニューヨークでの戦いを終えたアベンジャーズメンバーがシャワルマを食べるシーンが他の国と同様に公開されることになります。
『アベンジャーズ』の次に公開された『アイアンマン3(2013)』でマンダリンが登場するも、実際は偽物。MCU全体の流れを考慮してか、結局マンダリン、そしてシャン・チーの登場はフェーズ4まで見送られることになったのです。
ちなみに『アイアンマン3』の制作にはDMGも出資しており、MCU作品では唯一中国資本と共同で制作された作品となっています。そのためか中国で公開された『アイアンマン3』には、中国の俳優ワン・シュエチーと女優ファン・ビンビンがトニー・スタークの胸の電磁石を摘出するという3分の特別映像が追加されています。
『シャン・チー&ザ・レジェンド・オブ・ザ・テン・リングス(原題 Shang Chi and the Legend of the Ten Rings)』は2021年5月7日に公開予定
source : Bleeding Cool