映画業界にも甚大な被害を与えている新型コロナウイルス(COVID-19)。先日ニューヨーク市とロサンゼルス市は全ての映画館を閉鎖することを発表、ハリウッドの大手製作スタジオも映画の公開延期や映画・ドラマの製作中止を続々と決定しています。
現在ハリウッドで最も利益を生み出す映画シリーズMCU(MARVEL CINEMATIC UNIVERSE)を製作するマーベル・スタジオ(ディズニー)も、すでに新型コロナウイルスの感染・拡大を受けて製作を一時中断する方針を決定しています。これによって今後のMCUはどのような影響を受けるのでしょうか。
『ブラック・ウィドウ』
まず公開延期が発表された『007 / ノー・タイム・トゥ・ダイ』や『ワイルド・スピード / ジェットブレイク』とは違い、MCUは様々な作品が相互作用する巨大なユニバースです。つまり公開が遅れることでその後の全体のスレートに影響を及ぼす可能性があります。
Varietyでは、マーベル・スタジオに近い人物が「『ブラック・ウィドウ』の公開が遅れたとしてもMCUのタイムラインに影響はない」と証言したことを明かしています。ですがこの証言については『ブラック・ウィドウ』が8月に配信予定の『ファルコン&ウィンター・ソルジャー』までには公開されるのか、それともMCUフェーズ4においてそれほど重要度が高い作品ではないということを意味しているのかはわからないとも。
もし仮に『ブラック・ウィドウ』が『ファルコン&ウィンター・ソルジャー』以降に公開されることになった場合、MCUのタイムラインに影響が出ないとは言えないかもしれません。
『ファルコン&ウィンター・ソルジャー』
Disney +で配信予定のMCU初のテレビドラマ作品となる本作の撮影の大部分はアトランタで行われていましたが、一部をチェコのプラハで撮影する予定でした。撮影開始からほどなくして新型コロナウイルスの影響によりチェコ政府が学校授業の中止や文化・スポーツに関するイベントの禁止を決定。マーベル・スタジオは現地での撮影を打ち切り、キャスト・スタッフはアトランタに戻ることになりました。
後日プラハで再撮影が行われるのか、別の場所でセットを組んで撮影するのか。あるいは脚本が書き直されるのか。現時点では明らかにされていませんが、配信は今のところ予定通り2020年の8月に行われる見通しです。
エターナルズ
7000年もの年月を舞台にMCU史上最も壮大なスケールで描かれるという『エターナルズ』。本作の撮影は2020年2月にはすでに終了していることが明らかになっています。
なので撮影が中止になる心配はありませんが、問題なのはプロモーション活動ができるかどうかということです。
『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』がかつてそうだったように『エターナルズ』は一般的な認知度がほとんどないスーパーヒーローです。 7月に行われる予定のSDCC 2020といったビッグイベントがコロナウイルスの影響で中止になったとしたら、『エターナルズ』をプロモーションする機会が無くなることを意味し、マーベル・スタジオにとっては大きなリスクになる可能性があります。
現時点では『エターナルズ』の公開予定日に変更はありません。
『ワンダヴィジョン』
Disney +で配信予定のMCUドラマ作品『ワンダヴィジョン』も2020年3月の頭にすでに本撮影を終えていることが報告されており、現在はポストプロダクション(撮影後作業)に入っているものと思われます。
ですが先日『ファルコン&ウィンター・ソルジャー』の撮影中止が発表された際『ワンダヴィジョン』の名前も挙がっていたため、追加撮影があったのかもしれません。
現時点で『ワンダヴィジョン』の配信予定日に変更はありません。
『シャン・チー・アンド・レジェンド・レジェンド・オブ・ザ・テン・リングス』
『シャン・チー』はオーストラリアで撮影中でしたが、デスティン・ダニエル・クリットン監督が自ら新型コロナウイルスの検査を受け自己隔離することを発表、その検査結果が出るまで2週間ほど撮影を中断することになっています。
問題は公開予定日の2021年2月に中国市場がどうなっているか、です。
『シャン・チー』はマーベル初のアジア人スーパーヒーロー。そのマーケティングは主に中国で、公開予定日も中国の旧正月に合わせています。現在、世界トップクラスに新型コロナウイルスの影響を受けている中国では多くの映画館が閉館しており、旧正月までにどれほど中国市場が回復するのかはわかりません。
現在のところ公開予定日の延期は伝えられていませんが、中国次第で変更の可能性が出てくるかもしれません。
『ドクター・ストレンジ・イン・ザ・マルチバース・オブ・マッドネス』
本作は2020年5月からイギリスのPinewood Studiosで撮影が行われるという噂があります。現時点でイギリスは新型コロナウイルスの影響をそこまで色濃く受けていない印象ですが、イタリアをはじめヨーロッパは中国に並んで、感染被害が深刻化しています。
イギリスも感染が拡大するようであれば5月からの撮影は延期になる可能性があります。
現時点では公開予定日に変更はありません。
『ロキ』
Disney +で配信予定のMCUドラマ『ロキ』は2020年1月にアトランタで撮影が開始されましたが、現在は撮影を中断しています。
『ロキ』は2021年5月7日に公開予定の『ドクター・ストレンジ・イン・ザ・マルチバース・オブ・マッドネス』、そして2021年11月5日公開予定の『マイティ・ソー / ラブ・アンド・サンダー』の間に配信され、さらに両作と繋がることも明らかになっている超重要ドラマ。配信が遅れるということはすなわち『ラブ・アンド・サンダー』の公開も遅れることを意味します。
『スパイダーマン3(仮題)』
2020年の7月からニューヨーク、アトランタ、アイスランドで撮影を開始することが報告されていますが、7月にコロナウイルス騒動が収まっているかはわかりません。
もしコロナウイルスの影響で撮影に支障が出た場合、ソニーとの契約上、公開日を遅らせることが可能なのかはわかりません。ソニー・マーベル・ユニバースとのクロスオーバーの可能性が示唆されているため、遅らせるとしたら『ヴェノム2』の公開も延期になるのかもしれません。
『ホークアイ』
2020年1月に『ホークアイ』の撮影が無期限の延期になったことが報じられましたが、3月には2020年7月に撮影開始することをホークアイ役のジェレミー・レナーが明らかにしました。
再び撮影が延期になるのかどうかは新型コロナウイルスの影響次第です。
現時点では配信予定日に変更はありません。
『マイティ・ソー / ラブ・アンド・サンダー』
タイカ・ワイティティ監督は2020年4月頃に撮影スタッフをオーストラリアのシドニーに送り、8月から撮影を開始する予定だったことを明らかにしています。
オーストラリアでは先日トム・ハンクス夫妻が新型コロナウイルスに感染したように、その拡大が見られています。
おそらく撮影スタッフが4月にオーストラリアに乗り込むことは延期されるのではないかと思います。
現時点では公開予定日に変更はありません。
source : Variety