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[マーベル]ネタバレMCU21作目『キャプテン・マーベル』観てない人も完璧にわかるストーリー解説

彼女の「失われた」記憶が、世界を変える。

『キャプテン・マーベル』は2019年に公開された映画で、MCU(MARVEL Cinematic Universe)の中では『アントマン&ワスプ』に続く21作目の作品です。

MCUでの位置付けはフェーズ3、時系列としては『アイアンマン』よりもずっと前の1995年、ニック・フューリーが後のアベンジャーズを結成するきっかけが描かれます。『アベンジャーズ / インフィニティ・ウォー』のラストでニックがポケベルで通信した相手がこのキャプテン・マーベルです。

制作費は1億5000万ドル、世界興行収入は11億2000万ドルでした。

今作はMCUで初めて女性を主役にした作品ですが、同時にニック・フューリーのオリジン・ストーリーでもあり、これまでのMCUに登場したキャラクターやアイテムの歴史が語られます。

SPOILER ALERT!

※ここからは『キャプテン・マーベル』の内容を丁寧に解説してまとめています。もちろんネタバレありです。



主な登場人物

キャロル・ダンヴァース(キャプテン・マーベル) / ブリー・ラーソン

©︎2019 MARVEL STUDIOS

クリー人のエリート特殊部隊「スター・フォース」に所属する戦士。元地球人だが、その記憶は失われている。両手から「フォトンブラスト」という強力なビームを出すことができる。クリー人からは「ヴァース」と呼ばれている。
ブリー・ラーソンはアメリカ出身の1989年生まれ。『ルーム(2015)』で第88回アカデミー賞主演女優賞を獲得している。

ニック・フューリー / サミュエル・L・ジャクソン

©︎2019 MARVEL STUDIOS

後にS.H.I.E.L.D.長官になり、アベンジャーズを結成させることになる若かりし頃のニック・フューリー。今作ではまだS.H.I.E.L.D.のエージェント。
サミュエル・L・ジャクソンはアメリカ出身の1948年生まれ。『スター・ウォーズ』に出演した際、これまでにないライトセーバーの色がいいと言ったことがきっかけでメイス・ウィンドゥは紫色のライトセーバーになった。

フィル・コールソン / クラーク・グレッグ

©︎2019 MARVEL STUDIOS

若かりし頃のフィル・コールソン。この頃はまだS.H.I.E.L.D.の新米エージェント。ニック・フューリーを慕っている。
クラーク・グレッグはアメリカ出身の1962年生まれ。奥さんのジェニファー・グレイは過去に鼻の整形手術に失敗している。

マリア・ランボー / ラシャーナ・リンチ

©︎2019 MARVEL STUDIOS

キャロルがまだ地球人だった頃の空軍時代の親友。飛行機事故でキャロルが死んでしまったと思っている。現在は空軍を引退して娘のモニカと2人で暮らしている。
ラシャーナ・リンチはイングランド出身の1987年生まれ。映画デビューは2011年の『Fast Girls』。

ウェンディ・ローソン(マー・ベル)(スプリーム・インテリジェンス) / アネット・ベニング

©︎2019 MARVEL STUDIOS

かつてアメリカ空軍でライトスピード・エンジンを開発していた科学者。しかし本当の正体は戦争を終わらせるために地球に亡命していたクリー人マー・ベル。また、クリー人を統率するAI「スプリーム・インテリジェンス」は対話する際、その人が最も尊敬する人物の姿で現れる。ヴァースがスプリーム・インテリジェンスと対話した際はこの姿で現れる。
アネット・ベニングはアメリカ出身の1958年生まれ。4度のアカデミー賞ノミネート歴があるも「未だアカデミー賞を受賞していない名優」として知られる。

ヨン・ロッグ / ジュード・ロウ

©︎2019 MARVEL STUDIOS

クリー人の特殊部隊「スターフォース」の隊長。ヴァースの上官でもあり、彼女を一人前の戦士にするために戦闘訓練も担当している。ヴァースの失われた過去を知っている。
ジュード・ロウはイギリス出身の1972年生まれ。Diorの香水「Dior Homme Sport」とファッションブランド「ダンヒル」のイメージモデルをつとめている。

タロス / ベン・メンデルソーン

©︎2019 MARVEL STUDIOS

クリー人と敵対関係にある種族「スクラル人」のボス。スクラル人は声や外見を他人そっくりに変身できる能力を持つ。
ベン・メンデルソーンはオーストラリア出身の1969年生まれ。無類の犬マニア。

ロナン・ジ・アキューザー / リー・ペイス

©︎2019 MARVEL STUDIOS

ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』でパワー・ストーンを使ってザンダー星を滅ぼそうとしていたロナンの若かりし頃。狂信的なクリー信者で、スター・フォースの隊長ヨン・ロッグには比較的従順。
リー・ペイスはアメリカ出身の1979年生まれ。最初『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』にはスター・ロード役でオーディションを受けていた。

グース / レジー、アーチー、リゾ、ゴンゾ

©︎2019 MARVEL STUDIOS

ローソン博士がかつて飼っていたと思われる猫。仕草や見た目は猫そのものだが、その正体は「フラーケン」という超危険生物。口から触手を伸ばして人間でもなんでも丸呑みにしてしまう。スクラル人はフラーケンのことを知っているので、グースを恐れている。
グースを演じたのは4匹の猫。



ストーリー解説

記憶のないヴァースと全能の人工知能スプリーム・インテリジェンス

訓練に励むヨン・ロッグとヴァース ©︎2019 MARVEL STUDIOS

時は1995年、クリー帝国の惑星「ハラ」でエリート特殊部隊「スターフォース」に所属するヴァースは、6年以上前の記憶がありません。毎日悪夢にうなされながら過ごす彼女でしたが、腕から強力なビーム「フォトン・ブラスト」を出せる特殊な能力を持っており、部隊の仲間からは一目置かれていました。

ヴァースはスターフォースの司令官ヨン・ロッグのもと、「感情を抑制しろ」と言われながら戦闘訓練を受ける日々を送っていました。ある日、彼女はクリー人を統率する人工知能スプリーム・インテリジェンスのもとを訪ね、自分も戦闘に参加したいと願い出ます。「その人の潜在意識の中にある尊敬する人物」に姿を変えるスプリーム・インテリジェンスは、ヴァースの前には白髪の年配の女性として現れました。そしてヴァースに「クリーに尽くせ」と言って出動を許可するのでした。

捕まったヴァース、記憶の一部を覗かれる

クリー人は姿を自在に変えられる種族スクラル人と敵対関係にありました。そんな中クリーの諜報員ソー・ラーがスクラル人に捕まっているという情報を受け、ヴァースはヨン・ロッグの指揮のもと惑星トルファへ救出任務に向かいます。

出動するスター・フォース ©︎2019 MARVEL STUDIOS

惑星トルファでソー・ラーを発見したヴァースでしたが、近づいた途端に攻撃を受けてしまいます。ソー・ラーはスクラルの司令タロスが化けていた偽物で、ヴァースを誘き出すための罠でした。

捕まったヴァースはタロスらスクラル人に過去の記憶を探られていました。特殊な機械をとおしてヴァースの記憶を映し出す映像、その中に登場するのはスプリーム・インテリジェンスが見せた白髪の年配の女性でした。記憶の中でその女性の名前がウェンディ・ローソンであることを知るヴァース。そして次に映し出されたのは戦闘機とそのコクピット画面。タロスはそのコクピット画面に映る「ある座標」を知りたがっていました。

捕らわれ記憶を覗かれるヴァース ©︎2019 MARVEL STUDIOS

その時、ヴァースはフォトン・ブラストを使ってその場を逃れ、スクラル人の宇宙ポッドを使って船から脱出しますが、彼女は近くにあった地球へ墜落してしまいました。

ニック・フューリーとの出会い、ローソン博士の手がかりを探る

レンタルビデオ屋に墜落したヴァースは、スター・フォースのヨン・ロッグに地球に墜落したことを報告、救助を要請します。その時S.H.I.E.L.D.のエージェント、ニック・フューリーと新人エージェントのフィル・コールソンがヴァースの元へやってきます。

事情を話すヴァースでしたが、見た目から怪しいヴァースの話を全く信用しないフューリー。その時同じく地球に墜落していたスクラル人が現れ、ヴァースはスクラル人を追い、フューリーとコールソンはヴァースを追うことに。その追跡中、共に行動していたコールソンが実は化けていたスクラル人だったことを知ったフューリーは、異星人の存在、そしてヴァースの話を信じざるを得なくなりました。

人間に化けて電車の中に紛れ込んだスクラル人を探すヴァース ©︎2019 MARVEL STUDIOS

コールソンに化けていたスクラル人を解剖中、フューリーは当時のS.H.I.E.L.D.の長官ケラーに単独でヴァースと接触し確保するよう命じられます。

ヴァースと接触したフューリーはお互いに化けたスクラル人でないことを証明すると、ヴァースが記憶の中で垣間見たウェンディ・ローソンの名前を手掛かりに、アメリカ空軍基地のプロジェクト・ペガサス施設へ向かいました。ローソン博士はすでに亡くなっていましたが、残された資料からローソン博士は「マー・ベル」という名前のクリー人だったことが明らかになります。さらにその資料の中でローソン博士と一緒に写った写真を見つけたヴァースは、ローソン博士が設計した「ライトスピードエンジン」のテスト中に死亡したとされる女性パイロットが自分なのではないかという仮説にたどり着くのでした。

かつて女性パイロットだったと思われるヴァース ©︎2019 MARVEL STUDIOS

ですがこの時フューリーはヴァースを捕らえるため密かにポケベルでS.H.I.E.L.D.に援軍を呼んでいました。長官のケラーも到着しますが実はケラーはスクラル人タロスが化けていた偽物でした。追い込まれたヴァースとフューリーでしたがコールソン(本物)の助けもあり、ローソン博士が隠していたクインジェットを発見し、偶然施設で出会った猫のグースも乗せて脱出しました。

2人は事故前のローソン博士とヴァースを最後に見た人物、マリア・ランボーの元を目指すのでした。



蘇るヴァースの記憶、真実が明らかに

ルイジアナに到着したヴァース達は、マリア・ランボーの家を訪ねます。死んだと思い込んでいたかつての親友が現れて困惑を隠しきれないマリアでしたが、娘のモニカと共に久しぶりの再会を喜びました。そしてモニカが持っていたヴァースと過ごした思い出の品の中には、そこにはかつての自分の本名「キャロル・ダンヴァース」と記されたドッグ・タグがあり、ヴァースは自分の本名がキャロルだということを知るのでした。

かつてテストパイロット仲間であり親友だったマリア ©︎2019 MARVEL STUDIOS

その時、マリアの家にタロス達スクラル人がやってきます。警戒するキャロル達でしたが、実はタロス達の目的が一族で安住の地を見つけること、そのためにローソン博士の研究内容が必要だったことが明らかになるのでした。

そしてスクラル人の科学者が回収したブラックボックスを修復すると、そこには真実が隠されていました。

かつてライトスピードエンジンのテスト飛行でローソン博士を乗せて研究所に向かったキャロルでしたが、飛行機事故の原因はなんとヨン・ロッグの攻撃によるものでした。ローソン博士はクリー人でありながら、戦争で故郷を追われたスクラル人達を助けようとしていたのです。そのことがスプリーム・インテリジェンスの怒りを買い、裏切り者としてヨン・ロッグ達によって始末されることになったのでした。

飛行機は不時着したものの、キャロルとローソン博士はまだ生きていました。ローソン博士は証拠隠滅のためにライトスピードエンジンもろとも飛行機を爆破しようとしましたが、そこに現れたヨン・ロッグによって阻止され殺害されてしまいます。ですが、キャロルがローソン博士の意志を汲んでライトスピードエンジンを撃ち抜き破壊したその時、エンジンから強大なエネルギーが溢れ出し、キャロルを包み込みます。そのエネルギーがキャロルに宿る様子を見たヨン・ロッグは、気を失ったヴァースを惑星ハラに連れて帰り、彼女の記憶を書き換えていたのでした。

ローソン博士の研究所を探しに宇宙へ

スクラル人は敵ではなくあくまで安全な地を探しているだけだということ、自分はクリー人ではなく地球人だということ、そして腕から出せる「フォトンブラスト」はライトスピードエンジンのエネルギーを浴びたことによるもの、など全ての真実を知ったキャロル。

キャロルはローソン博士の意志を継ぎ、タロス達を助けることにします。宇宙船の副操縦士にマリアを指名して、キャロル、フューリー、タロスはライトスピードエンジンのコアが隠されているローソン博士の研究所を目指すのでした。

ローソン博士のラボを目指す一行 ©︎2019 MARVEL STUDIOS

その頃入れ違いで地球にやってきたヨン・ロッグは、キャロルに擬態したスクラル人を射殺し、キャロルが真実を知ったことを悟ります。キャロルを捕らえるためにスター・フォース全員で後を追いかけます。

ローソン博士の研究所は宇宙空間の中に巧妙に隠されており、その中には生き残ったスクラル人たちが隠れていました。タロスは家族と仲間との久しぶりの再会を喜びあいます。そしてラ研究所にあったエネルギー・コアの正体は、インフィニティ・ストーンの一つ”スペース・ストーン”が入った四次元キューブ、別名テッセラクトと呼ばれるものでした(『キャプテン・アメリカ / ザ・ファースト・アベンジャー』参照)。その時突然、グースの顔が開いて触手が飛び出し、テッセラクトを飲み込んでしまうのでした。

顔が開いて触手が飛び出すグースことフラーケン ©︎2019 MARVEL STUDIOS

そしてキャロルを追ってきたスターフォースが研究所に現れます。彼らはスクラル人とフューリーを人質に捕らえると、キャロルを捕らえて再びスプリーム・インテリジェンスに洗脳させようとします。ですがキャロルは逆に洗脳に打ち勝ち、さらに力を抑制していたクリー製のチップを外したことで覚醒し、フルパワーを使えるようになるのでした。

ヨン・ロッグとロナンを撃退、スクラル人の安住の地を探す旅へ

全力を出すことができるようになったキャロルはヨン・ロッグらスターフォースのメンバーを圧倒しました。その圧倒的なパワーでローソン博士の研究所も半壊していたため、マリアはフューリー、タロス、そしてテッセラクトを飲み込んだグースを宇宙船に乗せて地球へと帰還します。その道中グースと戯れていたフューリーは、グースに左目を引っかかれてしまいました(これが原因で後に失明、眼帯をすることになる)。

ヨン・ロッグは宇宙に待機させていたロナンに連絡をして、地球を爆撃する指示を出し自身はタロスたちを追って地球へと向かいます。

キャロルはロナンが発射したミサイルとロナンの艦隊の一つを破壊してロナンの艦の前に立ちはだかります。その様子を見ていたロナンはキャロルのパワーを恐れて撤退するのでした。

地球に向かったキャロルはヨン・ロッグと対峙、ヨン・ロッグから「正々堂々と戦おう」と持ちかけられますが、それを無視してフォトンブラストを放ちヨン・ロッグを吹っ飛ばします。そして「戦争も嘘も全て私が終わらせる」とスプリーム・インテリジェンスに伝えるように言い、ヨン・ロッグを宇宙船に乗せ、惑星ハラへ送り返すのでした。

対峙するヨン・ロッグとキャロル ©︎2019 MARVEL STUDIOS

戦いが終わって、キャロルはスクラル人たちが安全に暮らせる惑星を探すためにタロスたちと共に旅に出ることにします。そしてフューリーに「緊急時に呼んで」と言い、銀河の2倍の距離まで届くよう改造を施したポケベルを渡すのでした。

その後フューリーは今後宇宙人が地球の脅威になった時のために、キャロルのようなヒーローたちを集める計画を立案します。当初は”プロテクター計画”と名付けられていた計画でしたが、昔のキャロルの写真を手に取り、そこに写っていたキャプテン・キャロル・アベンジャー・ダンヴァースの文字を見て「アベンジャー計画」と名称を書き換えるのでした。

そして同じ頃、フューリーのデスクでグースは飲み込んでいたテッセラクトを吐き出します。

それから23年後。『アベンジャーズ / インフィニティ・ウォー』でサノスのスナップによって全宇宙の半分の生命が消滅し、なす術なくたたずむスティーブ、ナターシャ、ローディ、そしてブルース。彼らはフューリーが消滅する直前にキャロルに助けを求めて送信したポケベルを回収していました。このポケベルの通信先が誰なのかもわからず、様子を見守るスティーブ達、そしてポケベルが突如通信を停止すると、キャロルが音もなく現れ「フューリーはどこ?」と尋ねるのでした。

『アベンジャーズ / インフィニティ・ウォー』のラストでニックが通信したポケベルに応じてやってきたキャロル ©︎2019 MARVEL STUDIOS



今後のために押さえておきたいポイント

  • ・『マイティ・ソー』で初登場して以来、MCUに関わって来た重要アイテム・テッセラクト。なぜフューリーが持っていたのか、その理由が今作で明らかになりました。インフィニティ・ストーンの一つ「スペース・ストーン」が内包されているこのアイテムは元々アスガルドに保管されているものでした。オーディンが何らかの経緯で地球に置き忘れたテッセラクトはレッドスカル(『キャプテン・アメリカ / ザ・ファースト・アベンジャー』参照)によって発見され、その後ハワード・スタークに回収されてS.H.I.E.L.D.が管理していました。詳しくは描かれていませんが、ローソン博士はS.H.I.E.L.D.からテッセラクトを借りて(?)研究をしており、最終的にグースを通じてフューリーが保管することになっていたのです。
  • ・クリー人という種族は『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』でも登場しています。今作で登場したロナンは後に『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』でメインヴィランになっています。
  • ・本作で登場したキャロルの親友マリアとその娘モニカは、今後のMCUでも登場すると言われています。
  • ・本作は1995年が舞台の言わば「キャプテン・マーベル」と「ニック・フューリー」のオリジン・ストーリーですが、ラストで『アベンジャーズ / インフィニティ・ウォー』の直後の2018年へと話が繋がります。
MCU次の作品は『アベンジャーズ / エンドゲーム』です!
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