パティ・ジェンキンス監督がメガホンをとったDCEU(DC Extendede Universe)作品『ワンダーウーマン(2017)』は全世界で8億ドルを超える興行収入を記録、女性監督作品としては歴代最高の興行収入を記録しました。
そんなジェンキンス監督、実は以前MCU(MARVEL CINEMATIC UNIVERSE)作品『マイティ・ソー / ダーク・ワールド(2013)』の監督のオファーを受けていました。ですが就任から3ヶ月ほどで監督を辞退、『ターミネーター: 新起動/ジェニシス(2015)』のアラン・テイラー監督が後を引き継ぐことになります。
当初ジェンキンス監督の辞退の理由については「マーベル・スタジオとの創造上の相違」「適切な監督ではなかった」と言われていました。『マイティ・ソー / ダーク・ワールド』はダークエルフの長マレキスの野望を阻止するという内容。インフィニティ・ストーンの一つリアリティ・ストーン(エーテル)が登場し、ソーとロキの兄弟としての関係の変化も描かれています。
最近のインタビューの中でジェンキンス監督は、当初『マイティ・ソー / ダーク・ワールド』の脚本を読んで「これは失敗する」と判断したことを明かしています。Vanity Fairが報じました。
「彼ら(マーベル・スタジオ)が用意していた脚本から素晴らしい作品を作ることができるとは思えなかったんです。この作品が失敗したとしたらー それは私のせいだったように見えるでしょう。こんな風に感じたことは私のキャリアの中でこの1回だけです。他の監督でしたら、きっと私よりも作品のことを理解して愛すると思います。私は自分が信用できない映画は作れませんから。」
実際『マイティ・ソー / ダーク・ワールド』はMCUファンの間ではワースト3にランクインされるほど評価は良くない作品です。(他のワースト作品は『インクレディブル・ハルク』『アイアンマン2』)ソー役のクリス・ヘムズワース本人ですら「(『ダーク・ワールド』は)微妙」とコメントしています。
シャーリーズ・セロン主演『モンスター(2003)』で長編映画監督としてデビューして以降、機会に恵まれなかったジェンキンス監督にとってキャリアに傷をつけるようなリスクは負いたくなかったのでしょう。マーベル・スタジオで多額のギャラをもらうよりも、自分の信じられる映画作りにこだわった結果、ジェンキンス監督は『ワンダーウーマン』に出会い、見事に成功しました。
もしジェンキンス監督が『マイティ・ソー / ダーク・ワールド』を手がけることになっていた場合、「”宇宙版ロミオとジュリエット”のような作品にしたかった」とも。オリジナル版とは全く異なる作品になっていたようで、それはそれで観てみたい…
なお『マイティ・ソー』シリーズで最も評価の高い『マイティ・ソー / バトルロイヤル(2017)』について「マーベル・スタジオはソーにとって最適の人物を見つけたと思います。タイカ・ワイティティ監督はとてもいい監督ですよ。『マイティ・ソー / バトルロイヤル』は大好きです。あのソーは見事だったと思いますし、純粋なタイカ監督そのものを感じましたね。」と高く評価している様子。
『ワンダーウーマン 1984』は2020年8月14日に公開延期。日本での公開は現在6月12日のまま。
source : Vanity Fair