DCコミックスのみならずアメコミを代表するヴィラン「ジョーカー」は、これまでに様々な俳優が演じてきました。その「誕生」という部分に焦点を当て、独自の解釈によって映画化したのはトッド・フィリップス監督による『ジョーカー』が初めてですが、主演のホアキン・フェニックスはこれまでにないジョーカー像を見事に演じきり、世界中からは賞賛の声が上がっています。
ホアキン・フェニックスがジョーカーを演じる前までは、『スーサイド・スクワッド(2016)』でジャレッド・レトが演じていたジョーカーが「最新の」ジョーカーでした。そして新たにジョーカーの単独映画化が計画された際、起用されたのはそれまでジョーカーを演じていたジャレッドではなくホアキン・フェニックス。The Hollywood Reporterによるとジャレッドは、ホアキン・フェニックス主演で『ジョーカー』が製作されることを知った時、そのプロジェクトをキャンセルさせようとしたそうです。
ジャレッド・レトは『スーサイド・スクワッド』でジョーカーを演じるにあたって、あえて孤独な環境を作って生活した他、共演したマーゴット・ロビーへ生きたネズミを贈ったり、リハーサル中の共演者へブタの死骸をプレゼントするなど、数ヶ月かけて精神面から徹底してジョーカーへの役作りに励んでいました。
かなり気合いを入れてジョーカー役に臨んだためか、ジャレッドは自分以外の俳優がジョーカーを演じることに我慢できなかったのでしょう。新たに製作されるジョーカーの単独映画が自分ではなくホアキン・フェニックスを起用することを知ったジャレッドは、トッド・フィリップス監督を代表するエージェントへ文句を言い、さらに自身の音楽活動のマネージャーを務めるアーヴィン・アゾフ氏に「ワーナー・ブラザーズに電話をかけて『ジョーカー』の製作をキャンセルするよう」指示したとのこと。アゾフ氏はこのことについてコメントを拒否していますが、現在ジャレッドとは決裂していると言います。
ジャレッド・レトはとりあえずはまだDCEU(DC Extended Universe)におけるジョーカーという立ち位置にいますが、ハーレー・クインを主役にしたDCEUの次回作『Birds of Pray(邦題未定)』やジェームズ・ガン監督によって製作中の『The Suiside Squad(邦題未定)』の両方にもジャレットのジョーカーが登場する予定はありません。
実際ジャレッドがジョーカーを演じた『スーサイド・スクワッド』での登場時間はたったの10分でした。徹底してDCコミックスを代表するヴィラン、ジョーカーの役作りをしたジャレッドでしたが、デヴィッド・エアー監督にはあまり受け入れられず、結果撮影したほとんどのシーンはカットされてしまったのです。
そういう背景もあったことから、ジャレッドが『ジョーカー』のプロジェクトに対して嫌悪感をあらわにするのは当然の流れと言えるかもしれません。現在ホアキン・フェニックスが受けている賞賛の声は、間違いなく本来ジャレッドが求めていたものです。トッド監督による『ジョーカー』のヒットを受けて、ワーナー・ブラザーズのDCコミックス映画は今後注目を浴びることになりそうですが、おそらくジャレッドが今後ジョーカーとして再出演することはないように思えます。
現在ジャレッドはDCコミックスを離れ、ソニーのスパイダーマンスピンオフ作品『モービウス(原題 : Morbius Living the Vampire)』を撮影中、今度こそ賞賛を受ける人気のキャラクターになってほしいものですが…
『モービウス(原題 : Morbius Living the Vampire)』は2020年7月31日公開予定
source : The Hollywood Reporter