マーベル・スタジオ史上最大のヒットを記録した『アベンジャーズ / エンドゲーム』は、『アイアンマン(2008)』から始まったインフィニティ・サーガの集大成としてふさわしい結末を描いています。
『アベンジャーズ / インフィニティ・ウォー』の戦いでアベンジャーズがサノスに完敗してから5年後を描いた本作。ペッパーとの間に娘のモーガンを授かり、静かに幸せな生活を送っていたトニーでしたが、スティーブやスコット達が提案するタイムトラベルのアイデアをきっかけに彼は失われた仲間たちを取り戻す戦いに参加することを決めます。
ナターシャの犠牲もあって、トニーたちは6つのインフィニティ・ストーン全てを集めることに成功、消滅した仲間達は無事に復活を果たし、トニーたちはサノスの軍勢との最終決戦を迎えました。
その後に描かれたのはMCU史上最も悲しい瞬間でもありました。『アイアンマン』からMCUを引っ張り続けて来たトニーが自らの命を犠牲にインフィニティ・ストーンの力を使いサノスの軍を消滅させます。まともに話すこともできず、確実に死が近づいていることを感じさせるトニーの表情。ペッパーはトニーに「ゆっくり休んで」と優しく最後の言葉をかけるのでした。
『アベンジャーズ / エンドゲーム』のVFXチームにとって、このシーンのトニーの外観は作品の成功を左右する大きな課題でもありました。Insiderのインタビューのなかで、VFXスーパーバイザーのマット・エイトケン氏はこのシーンでのトニーの外観について、監督のルッソ兄弟にいくつかのパターンを提案していたことを明らかにしました。
エイトケン氏によれば、このパターンの中にはかなりグロテスクなものもあったといいます。
「我々はルッソ監督に(トニーの外観を)いくつかのパターンから選んでもらうよう提案しました。そのうちの一つにインフィニティ・ストーンのパワーが顔にまで作用して片方の眼球が飛び出して頬でぶらぶらしているっていうのもありました。それはもちろん却下でしたけど(笑)。」
結果的にそこまでグロテスクじゃない外観になったわけですが、VFXプロデューサーのジェン・アンダーダール氏は『バットマン』シリーズでおなじみのヴィラン「トゥーフェイス」のようなイメージも候補にあったそう。
「それから気味の悪いデザインからそうじゃないデザインまでいくつかの試行錯誤を繰り返しました。観客のみなさんにとって怖いとは感じない外観に落ち着きましたが、我々はトニーがもう戻ってこないほどのダメージを受けているってことも理解していました。なので歯が見えた「トゥーフェイス」のようなデザインも考えたんですけどね。ですがそれは観客のみなさんにとってはインパクトが強すぎるんじゃないかって。(ストーリーが入ってこないほど)それに集中しすぎてほしくはありませんでした。」
実際誰もこんなトニーは見たくなかったんじゃないか…確かに悲しいって気持ちより「え、グロっ!」って気持ちの方が上回りそうです。
『アベンジャーズ / エンドゲーム』はスマートハルクや老人となったキャプテン・アメリカなど最新のVFX技術が使われており、第92回アカデミー賞の視覚効果部門の最終選考に残っています。アカデミー賞の発表は日本時間2月13日22時18分から!
source : Insider