世界有数の映画製作・配給会社ワーナー・ブラザーズ・ピクチャーズは、AI(人工知能)を用いたデータ分析プラットフォームを提供する会社Cinelyticと契約を結んだことが明らかになりました。The Hollywood Reporterが報じています。
この契約によって、ワーナー・ブラザーズは映画やタレントの市場価値を分析し、世界中で誰がどんな作品を見ているかをリアルタイムで把握、これから製作する映画が商業的に成功するかどうかを予測することができるようになるようです。
「このシステムによって一般的な映画の評価や俳優の価値など、これまで人間が評価するのに数日かかっていたことをわずか数秒で計算できます。」と語るのはCinelyticの創設者トビアス・クワイサー氏。同氏によるとAIが行うのは大量の視聴者データを処理することで、これによって予算やブランド、関連する俳優に基づいて映画が成功する確率を導き出すと言います。
「人工知能は恐ろしいです。ですが現時点ではAIは創造的な決定を下すことができません。(AIが)得意なのは数字を計算して膨大なデータを分解することで、人間には気づかないようなパターンを示すことです。創造的な最終決定にはまだ人間の直感や経験が必要です。」
これまで映画に関するAIの役割と言えば、NetflixやAmazon Primeビデオを利用する際に表示される「あなたへのおすすめ」。これはユーザーの視聴履歴に基づいてAIが関連した作品をピックアップする機能です。この枠を越えて、これからは映画を製作する段階でAIがその作品がヒットするかどうかを判断するというすごい時代になってきました。
マーベル・スタジオのMCU第1作『アイアンマン』に関して、作品の一般的な知名度の低さや当時薬物問題で話題になっていたロバート・ダウニー・Jrを主役に起用するなど、当時の決定には相当なリスクがあったと言えます。それでも『アイアンマン』は大ヒット、そしてその成功があったからこそMCUはの世界が広がっていきマーベル・スタジオは現在世界で最も稼ぐ映画スタジオとなりました。AIが『アイアンマン』の成功を製作段階で予測していたとしたら、きっと数字上では「成功しない」と判断していたのではないでしょうか。
個人的にはAIが成否を判断する映画製作は必ずしも良い作品を生み出すことにはならないと思いますがはたして…
source : The Hollywood Reporter