『ダークナイト』3部作や『インセプション(2010)』で知られるクリストファー・ノーラン監督最新作『TENET テネット』。先月最新版となる予告動画が公開されていましたが、そこに映っているタイトルロゴが当初のものと変更されていたことにお気づきだったでしょうか？
当初の『TENET テネット』のタイトルロゴは後半のEとTが逆さまになったものでしたが、最新の予告映像では普通に『TENET』と表記されているのです。この変更の背景にはある自転車用品メーカーの存在がありました。
その自転車用品メーカーの名前は「Tenet Components」。2018年6月に創業された比較的新しい会社なのですが、注目すべきはその会社のロゴ。ノーラン監督の『TENET テネット』のロゴと驚くほど似ているのです。
引用https://ridetenet.com/『TENET テネット』の最初の予告動画およびタイトルロゴが公開された2019年12月の時点でTenet Components側はInstagramにて「我々はクリストファー・ノーランと一緒に映画を作っているわけではありません。と発表、「偶然かもしれないし、ノーランが我々のブランドに触発されたのかもしれない。我々が一番恐れているのは、我々のブランドのことを知らなかった人が”ノーランからロゴを盗んだ”と誤解することです」とコメントしました。
https://www.instagram.com/p/B6Rj2OanvQW/?utm_source=ig_web_copy_link
Tenet Componentsの経営者であるタイラー・デスチャイン氏は、「Tenet(信念、信条)」という社名は2017年から検討されていたことを明かしており「ただの偶然ということもありますが、私たちには大きなダメージになる可能性もあります」として、法律の専門家に相談したとも明かしています。ですが法的には、商標は業界内でのみ守られるものであり、映画のロゴを変更するよう求めるのは難しいとのこと。「追及すると先制訴訟を受ける可能性もある」とアドバイスされたことからInstagramでの発表に止まったと言います。
ですがその後Tenet Components社のウェブページではノーラン監督から手紙を受け取ったことを発表しており、そこにはノーラン監督とタイラー氏のやり取りが掲載されています。
「タイラーさんへ
ワーナー・ブラザーズがが貴社のロゴを見せてくれたことから、直接連絡を取らせていただきました。映画のロゴを制作する上で、貴社のロゴを参考にしたわけではありませんのでどうかご安心ください。なぜなら、私の物語やテーマの中心にあった言葉の対称性に魅せられて、この6年間、私自身がデザインし、進化させてきたからです。私はユニークなデザインを作ったと思っていましたが、貴方も明らかに同じような創造的な衝動に駆られていたのですね。私は起こるはずのない偶然も起きるものだと考えています。そして貴社が我々の映画のタイトルに触発されたと思われたくないということも十分に理解しています。なので、そのような誤解を解決するために、どうぞ私の言葉を引用してください。私はこのロゴが大好きなので、これが強制的なものだと感じないでほしいのですが、あなたが先にロゴを公開した以上、望むのであれば我々はロゴの使用をやめることもできます。
敬意を表して。」
これを受けてタイラー氏は「今回のことは、起きてしまったことすべてを振り返る時間を与えてくれました。まず、親切なお手紙を送っていただきありがとうございました。私の心配事に時間を割いてくれて本当に感謝していますし、お互いに納得のいく解決策が得られることを願っています。」と述べるとともに「うまくいけば両者がロゴを使用できるようにするために、いくつかの解決策を提案」しています。タイラー氏は「映画のロゴのフォントやスタイルを変更し、明らかに別物だとわかるようにするのはどうか」「ワーナーとノーラン監督から、Tenet社とは無関係であることを報道向けに発表するのはどうか」という2つの内容が提示されましたが、ワーナーはロゴを変更することを選んだのでした。
『TENET テネット』は2020年7月31日に公開予定
source : Pinkbike , Tenet Components
