マーベル生みの親スタン・リーの激動の人生とはー伝記本『Marvelous Life: The Amazing Story of Stan Lee』が発売

マーベル・コミックス設立後、「アイアンマン」や「スパイダーマン」といった今では誰もが知るスーパーヒーローを生み出し、アメコミ界全体に多大な影響を与えたスタン・リー。そんな”アメコミ界のゴッド・ファーザー”が2018年11月12日に急逝してから、早いことにもうすぐ1年が経とうとしています。

1976年からマーベル・コミックスで働き、スタンのことをよく知る人物ダニー・フィンゲロス氏が、40年にわたるスタンの人生を綴った伝記本『Marvelous Life: The Amazing Story of Stan Lee』を11月5日に発売することが明らかになりました。

スタン・リーの激動の人生とは

The Hollywood Reporterのインタビューの中でスタンの人生について「まるでジェットコースターのようでした」とダニー氏は語ります。

スタンリー・マーティン・リーバー。後にスタン・リーと呼ばれるその男は1922年にニューヨークで生まれました。幼い頃は経済的に恵まれておらず、さらに大恐慌という社会背景が貧しさに追い討ちをかけました。そんな時代でしたが、スタンリー少年は本を読むのが大好きで、ラジオドラマや映画に夢中になっていきます。

スタン少年は家計を助けるため早くから社会に出て、17歳の時に今のマーベル・コミックスの前身である「タイムリー・コミックス」の編集アシスタントという職に就きます。そこで運命の出会いとなるのがキャプテン・アメリカの生みの親であり編集者のジョー・サイモン、そして後にマーベルの創成期を支えることになるジャック・カービーでした。

当時コミックブックという娯楽文化は生まれたばかりで、サイモンとカービーの仕事を手伝っていたスタンリーは、初めて自身の短編を『#5 キャプテン・アメリカ・コミックス(1941)』に掲載、この時使ったペンネームが「スタン・リー」でした。ほどなくしてサイモンとカービーはタイムリー・コミックス社を去り、スタンがコミック部門を任され実質の編集長となります。

ですが1942年には戦争が激化しスタンも陸軍に入隊、通信隊と軍のための映画の製作を務めて1945年に終戦まで所属しました。戦後は再びコミックブックの仕事に戻り、1947年には生涯の伴侶ジョーンと結婚、タイムリー・コミックスの社名も「マーベル」に変更します。

しかし戦後は子供への悪影響などが取り沙汰されコミックブックの売れ行きが激減、マーベルも経営状況が悪化しておりスタンも仕事を辞めることを考えていました。そんな時ライバル社のDCコミックスが『ジャスティス・リーグ・オブ・アメリカ』で大成功を収め、マーベルのオーナーであるマーティン・グッドマンはスタンに新たなコミックを出版するように言います。いまいち気乗りしないスタンでしたが「どうせなら好きなようにやってから辞めればいい」という妻ジョーンのアドバイスで心機一転。より身近で共感が持てるヒーローを当時マーベルに復帰していたジャック・カービーと共に生み出しました。それが「ファンタスティック・フォー」でした。

引用https://www.yahoo.com/entertainment/lost-stan-lee-interview-making-modern-fairy-tales-hero-identified-202110056.html

ファンタスティック・フォーは瞬く間に大ヒット、それに続いてスタンはカービーやカバー・アーティストのスティーブ・ディッコ、弟のラリー・リーバーらと共にハルク、ソー、アイアンマン、X-MENやスパイダーマンなど、今でもおなじみのキャラクターを数年の間に次々と生み出していきました。

1981年にオーナーのマーティン・グッドマンがマーベルを離れたあとはスタンが発行人になるも、それも後身に任せてロサンゼルスへ移住。スタンが次に手がけたのがマーベルのアニメーションを自身で製作する「マーベル・スタジオ」の設立でした。ご存知のようにマーベル・スタジオは、現在ディズニー傘下のグループ会社として数々の映画作品やドラマ作品を打ち出して成功を収めています。

スタンは後に「POW！エンターテイメント」という自身の会社を設立して世界中のアーティストと新たなキャラクターを生み出すと共に、マーベルの名誉賞という形で、マーベル・スタジオの作品にカメオ出演しています。

スタンの意志を受け継いだ世界中のクリエイターが、これからもきっと素晴らしい作品を世に送り出していくことでしょう。