『ダークナイト』シリーズや『インセプション(2010)』などで知られるクリストファー・ノーラン監督はストイックで有名ですが、出演者によれば現場では休憩に対しても相当厳しいようです。Varietyによる俳優同士の対談企画「Actors on Actors」に出演したアン・ハサウェイとヒュー・ジャックマンが語っています。
ヒューは『プレステージ(2006)』、ハサウェイは『ダークナイト ライジング(2012)』『インターステラー(2014)』とそれぞれノーラン監督作品に出演経験あり。2人によるとノーラン監督は撮影現場に携帯電話を持ち込ませないだけでなく「クリス(ノーラン)は椅子を置くことも許さないんですよ。椅子があったら人は座るし、座るってことは働いてないってことだって言うの」とハサウェイは明かします。
それに対してはヒューも「ほんとに?」と驚いていますが、ハサウェイは「彼は正しいと思いますよ。そうやって空気を引き締めてますから。彼の映画は技術的な達成や興奮がすごく大きいじゃないですか。決まったスケジュールと予算の中で常にそれを達成するために、椅子に目をつけたんだと思います。」
また、ヒューも『プレステージ』の出演契約の際に待機時間を過ごすためのトレーラーを1人あたり1台ではなく、共演のクリスチャン・ベールと2人でシェアするよう求められたと言います。撮影現場においてトレーラーは唯一プライベートな時間を過ごせる家のような場所。それを共有することについてヒューは若干の不満を覚えたようです。
「弁護士のところに、“トレーラーの必要性はよく理解しています”ってクリスから電話がかかってきたんだよ。それでも、クリスチャン・ベールと僕にはトレーラーを共有してもらいたいって。そのかわり、トレーラーで1時間以上待たせるようなことはしないし、毎晩7時には仕事を終えて解散することを約束するって言うんだ。そして、彼はその約束を守ってくれた。」
この2人のやり取り、特にハサウェイの「ノーランは現場で椅子禁止」の発言はSNS上で話題となり、複数の映画評論家やジャーナリストたちが批判の声を上げる一方で、ノーラン監督に近しい人物たちが”現場を訪れた時にはたくさんのテーブルや椅子があった”と擁護する声が上がっています。そしてこの事態に対し、ノーラン監督は広報担当者を通じてハサウェイの発言には誤解があることを伝えています。
「クリストファー・ノーランの撮影現場で禁止されているのは、携帯電話と喫煙だけです(常にそうではありませんが)。アン・ハサウェイが言っていた椅子とは、ビデオモニターの周りに配置されたディレクター用の椅子のことで、それは物理的な必要性というよりも、監督という立場に基づいて置かれているものです。クリス本人はその椅子を使わないことにしていますが、セットの中で椅子を禁止したことは一度もありません。キャストやスタッフは必要なときに必要な場所にいつでも座ることができます。」
つまりハサウェイの言う「椅子を置くことも許さない」というのはノーラン監督が自身に課したものだったということ。少なくともビデオモニターでシーンをチェックする際に椅子に座ることは働いていないことにはならないと思いますが…
クリストファー・ノーラン監督最新作『TENET テネット』は2020年8月12日にアメリカで公開予定、日本では2020年9月18日に公開予定
source : Variety , IndieWire