ホアキン・フェニックス主演で描かれる映画DCコミックス原作の映画『ジョーカー』。心優しいアーサー・フレックが、歪んだ悪の化身・ジョーカーに変わっていく様を描いた本作の上映時間は2時間2分となっています。
監督のトッド・フィリップスによると、『ジョーカー』の初期バージョンの上映時間は2時間35分あったとのこと。
「最初の編集バージョンは2時間35分ありました。それをチェックして、何回か見直して“あそこは必要ない、ここも必要ない”って削っていったんです。でも、ある展開をまるごと削除するというようなことはありませんでした。全体的に余分なところだけを削っていったんです。自分の映画はタイトな方がいいと思ってますから。」
削除されたシーンがあるということは、Blu-rayなどのホームリリースメディアにボーナスコンテンツとして含まれるんじゃないか、もしくは最近マーベルが『アベンジャーズ / エンドゲーム』や『スパイダーマン : ファー・フロム・ホーム』でやったような「エクステンデッド・バージョン(未公開シーンを含んだバージョン)」の追加公開などを期待してしまいます。
ですがトッド監督はColliderの中で、これらの削除されたシーンについて「見せることは決してない」と自身の考えを述べています。
「僕はエクステンデッド・バージョンっていうのが嫌いなんです。だって削除されたシーンっていうのは、何らかの理由があって削除されているわけですから。今存在している映画は僕が望んだ形の映画です。削除されたシーンをお見せすることは決してありません。」
削除されたシーンをBlu-rayなどでお目にかかることはどうやら難しそう。ですがトッド監督は映像こそ観せる気はないものの、その内容の一部について語りました。
「(終盤のマレー・フランクリン・ショーで)マレー・フランクリンが「ジョーカーをお迎えください」と言って、カーテンが開き、アーサーが出てくるんですが、ホアキンは撮影の度に毎回違うことをしていました。映画をご覧になったならわかると思いますが、彼はステージでターンをしてから女性にキスをします。ですが、僕たちはこのジョーカーをお迎えください」のシーンをいくつも撮っていたんです。わからないですけど13回ぐらいは撮ったんじゃないかな。それらはすべて違っていて、とても面白いし、良いシーンもたくさんあります。」
また、他の削除されたシーンには、ブルース・ウェインなどDCコミックス作品を感じさせる要素も多く含まれていたそうです。
「初期の編集には、(コミックの要素が)もっと含まれていたと思います。全体的にもっと多かったですね。だけど面白かったのは、コミックの世界に片足を突っ込みながら、もう片方の足はそこから出ているという状態をキープすることでした。そのバランスを決めるのが難しかったんです。ですがこの映画は自由に作ることができました。DCという会社も、ワーナー・ブラザーズというスタジオも、僕たちがやりたいことようにやらせてくれたんです。「バット・モービルについて触れてくれ」なんてことは一切なかったんです。」
おそらくこれらの映像を見ることはないかもしれませんが、いつかどこかで…という期待を心の奥底に込めつつ、トッド監督とホアキン・フェニックスの思惑が詰まった渾身の122分をしっかり楽しみましょう。
source : Collider