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意外と知らない!?アカデミー賞はどうやって決められるのか ー 選考方法や仕組みを解説

何か面白そうな映画を探す時なんか「アカデミー賞受賞作品」「アカデミー賞最有力」なんて言葉をよく目にすると思います。ただ漠然と「すごい賞で多分これは面白い映画なんだな」というイメージはあっても、それを受賞するまでの道のりや方法を知らない方も多いハズ。本記事ではそんなアカデミー賞受賞までの仕組みについて詳しく解説しています。



アカデミー賞とは

ゴールデン・グローブ賞やカンヌ国際映画祭、トロント国際映画祭など年に数回、優れた映画が評価される機会はありますが、中でもアカデミー賞はアメリカの映画賞の中でも最高峰と言われています。

作品賞
主演男優賞
主演女優賞
助演男優賞
助演女優賞
監督賞
脚本賞
撮影賞
脚色賞
作曲賞
衣装デザイン賞
ヘアスタイリング&メイクアップ賞
美術賞
歌曲賞
編集賞
音響編集賞
録音賞
視覚効果賞
長編アニメーション賞
国際長編映画賞
長編ドキュメンタリー賞
短編ドキュメンタリー賞
短編実写映画賞
短編アニメーション賞
の全24部門があり、各部門それぞれのトップが選ばれることになります。

それぞれ、受賞すると”オスカー像”という金色の男性の像がもらえます。よく「◯◯がオスカーを獲得した」なんて言われることもありますが、つまりアカデミー賞のある部門で1位になったってことですね。ちなみに賞金などは一切出ません完全に名誉のみです。ですが受賞による影響は大きく、受賞結果によって作品の続編や監督、俳優などに対する期待度などから今後の出演料や興行成績に大きな影響を与えます。

誰が選ぶのか

映画芸術アカデミー(AMPAS)と呼ばれる団体による無記名の投票で選ばれます。

会員は映画業界に関わる著名な映像スタッフや関係者、監督や俳優などで構成されており、その会員数は現在8469人(2020年2月9日時点)になると言われています。

これらの会員は、監督なら監督部門、カメラマンなら撮影部門といったように、それぞれのプロフェッショナルが該当する17の部門に割り当てられ、ノミネート作品を選出します。なお1人が監督・脚本・俳優を兼任する場合、1人で複数の部門に所属することはできず、「無所属」という扱いになります。

作品賞と長編アニメ賞だけはアカデミー会員の全員に投票権があり、全員でノミネート作品を選出します。

ノミネートから受賞まで

まず、アカデミー賞を受賞するためにはノミネートに選ばれなければいけません。審査の対象になるのは”授賞式の前年1月1日〜12月31日の間にロサンゼルスの映画館で1日3回、1週間以上上映された映画”。条件だけ見ればかなり多くの映画がクリアしているので、その審査対象は数百本になります。

前述のAMPASの各部門の会員によって、それぞれ監督賞や主演男優賞などのノミネート作品(人)基本5作品(人)が選出されます。作品賞と長編アニメ賞は全会員によって9作品がノミネートされます(長編アニメ賞は基本5作品)。

アカデミー賞受賞式はそのノミネートされた作品、つまり予選を勝ち上がった作品の中から1位が発表されるというもの。アカデミー賞の授賞式は大体2月か3月に行われており、そのおよそ1〜2ヶ月前にノミネート作品の投票を開始、1週間ほどの投票期間の後、まずはノミネート作品が発表されます。それから授賞式の2週間ほど前に賞を受賞する最終投票が同じく約1週間ほど行われ、授賞式当日に発表されるという流れです。

ちなみに受け付けた投票を管理するのは大手会計事務所のプライスウォーターハウスクーパース(PwC)。集計された結果は金庫に厳重に保管されるため、結果を知るのは集計を担当した職員の2名のみ。授賞式当日にその職員が直接会場まで持っていくため、賞の授与プレゼンターですら開封の瞬間まで結果を知りません。



どういった作品が受賞するのか

もちろん面白い作品、素晴らしい作品がノミネートの対象になることは間違いありませんが、前述の通りその審査対象は年間数百本。全ての作品が公正に審査されているかと言えばそうとも言えません。

まずアカデミー賞を選出する会員全員が業界に何らかの形で携わるプロフェッショナルなわけですが、彼らはもちろん普段は本業となる仕事をこなしています。なのでこれらの映画を公開中に片っ端から観に行く時間はありません。

おそらく多くの会員はクリスマスや年末年始など大型連休が取れる時期から審査を始めます。会員の自宅に「スクリーナー」と呼ばれるDVDが大量に送られてくるのでそれを観ながら審査をするわけですが、数百本もの作品を連休の間に見終えることができるはずありませんよね。皆さんならどうしますか?きっと「観てないけど話題になった作品」から観ていくのではないでしょうか。

初春あたりに公開された作品は基本的には不利だと言われています。なぜなら記憶から薄れていくからです。一方、秋冬に公開された作品は記憶に新しいため有利とも言えますが、多くの配給会社もそれをわかっています。それぞれ自信作をこの時期に公開してくるため、競争が激しい時期となります。そこでこの時期に行われるカンヌ国際映画祭やベネチア国際映画祭と言った映画際で賞を受賞して話題になることが大切になってきます。これらの映画祭にあわせて各配給会社が自信作をプレミア上映するのはそのためです。

映画祭の後に発表されるこれらの映画賞を参考にアカデミー会員は作品を観る可能性があります。つまりアカデミー賞を狙う作品にとっては、他の映画祭からすでに戦いが始まっていると言えます。中でも1月初めに発表されるゴールデン・グローブ賞はアカデミー賞への影響が最も大きいと言われています。

また、春先に公開された作品がアカデミー賞にノミネートされないわけではありません。そのためにはアカデミー会員をはじめ、各映画賞の審査員の記憶に留めておくためのプロモーションが大切になってきます。どれだけ素晴らしい内容でも忘れられてしまっては意味がありません。効果的なイベントやタイアップを行うなど配給会社の資金も大事な要素になります。

確かにアカデミー賞やその他の映画賞を受賞したというのは、映画を選ぶ際の1つの指標になります。ですがそこに選ばれなかった作品にも素晴らしい作品はたくさんあることを忘れてはいけません。映画は優劣を競うために作られているわけではないですからね。どんな評価であれ、自分にとって良い映画、好きな映画に出会うことが大切だと思います。

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