アメコミ界で最も有名なDCコミックスのヴィラン「ジョーカー」。ホアキン・フェニックス主演でその誕生を描いた映画『ジョーカー』は、10月4日の公開から3週間経った今もなお世界中を席巻しています。週末映画ランキングでは3週連続No.1を記録し、アメコミ映画としては『スパイダーマン3(2007)』以来実に12年ぶりという偉業を達成しました。
まさに社会現象とも言えるムーブメントを起こしている『ジョーカー』ですが、これまでジョーカーというキャラクターがこれほど話題になったことがあったでしょうか?原作のDCコミックス、そして製作したワーナー・ブラザーズは今後このジョーカーという世界的(になった)キャラクターをどう扱っていくのでしょうか。その可能性を探ってみました。
『ジョーカー』の続編
今回『ジョーカー』が成功した要因の一つに、これまでの『ワンダー・ウーマン(2017)』『ジャスティス・リーグ(2017)』『アクアマン(2018)』といったDCEU(DC Extended Universe)から独立した作品ということが挙げられます。
トッド・フィリップス監督は『ジョーカー』をシリーズの第1作目としてではなく、今作限りの単体作品として作ったことを明らかにしていました。配給会社のワーナー・ブラザーズは企画当初、これまでのDCEUの流れを汲まず、かつ極めてダークな内容の提案に『ジョーカー』の製作中止をほのめかしていましたが、結果的にトッド監督の戦略は見事に成功しています。
ですがこの成功によって、ワーナー・ブラザーズは間違いなく続編を作ることを望んでいます。わずか5500万ドルの予算で7億5000万ドルを稼いでいるわけですから、会社としてはもう一稼ぎしたいと思うのは当然です。
ホアキン・フェニックスは「できることならもっと演じたい」と、もし続編が実現するなら出演することに前向きな姿勢を示しています。トッド監督がやらないと言っても、もしかするとワーナーが別の監督に変えてでも『ジョーカー』の続編を製作する可能性はゼロではありません。もちろんトッド監督がメガホンを取らないのであれば今作を超えることは難しいと思いますが…
ジャレッド・レトの再起用
ホアキン・フェニックスがジョーカーを演じる前までは、DCEU作品『スーサイド・スクワッド(2016)』でジャレッド・レトが演じていたジョーカーが最も新しいバージョンでした。そのさらに前の『ダークナイト(2008)』でヒース・レジャーがジョーカーを好演して以来だったため、ジョーカーの登場はかなり期待されていましたし、ジャレッド本人もかなり気合いを入れていました。ですがフタを開けてみると撮影された多くのシーンはカットされてしまい、実際に収録されていたシーンはわずかに10分と、監督とファン両方からの評判はよくありませんでした。
現在のところジャレッドはまだ一応DCEUのメンバーとして残っているようですが、現在製作中の『Birds of Pray』や『The Suiside Squad』に登場する予定はないようです。ですがハーレイ・クインの単体作品が公開されるのに、その恋人という設定のジョーカーが2度と登場しないというのも少し違和感があります。
散々な評価を受けたジャレッド本人がジョーカーとして復帰する意思があるのかはわかりませんが、DCEUにジョーカーが戻ってくる可能性はゼロではありません。その場合ジャレッドではない俳優が演じるかもしれませんが。
新『バットマン』の続編に登場するか
DCコミックスを代表するヒーロー・バットマンをロバート・パティンソン主演で新たに描く『The Batman』。1作目のヴィランは、DCファンにはおなじみのキャット・ウーマンとペンギンであることが報告されています。監督のマット・リーブスはこの新たなシリーズが全部で3作予定しているとのことで、残りの2作にジョーカーを登場させることは十分に可能性があります。
この『The Batman』シリーズがDCEUの一部なのか、はたまた『ジョーカー』のようにDCEUから独立した作品なのかは明らかにされていません。もしジョーカーが続編に登場するとして、DCEUならばもしかするとジャレッド・レトが(個人的には可能性は低いと思ってますが)、独立した作品ならばまた別の俳優がジョーカーを演じるかもしれません。ホアキン・フェニックスの後にジョーカーを演じる俳優には間違いなく相当なハードルに感じるでしょう。
『The Batman』は現時点では2021年6月25日の公開が予定されているので、その続編は2023年か2024年頃の公開になると思われます。
可能性まとめ
以上を見て、可能性として最も低いと思えるのはジャレッド・レトがジョーカーを再び演じるということ、そして『The Batman』の続編にジョーカーが登場するのは最も可能性が高いように思われます。ホアキン・フェニックス版『ジョーカー』の続編については、おそらくトッド監督が首を縦に振らない気がします…
いずれにせよ、DCコミックスやマーベルなどのコミックス映画が興盛になることで、アメコミに興味を持ってくれる人が増えることは喜ばしいことですね。