DCコミックを代表するヴィラン・ジョーカーの誕生を描いた映画『ジョーカー』は圧倒的な評価を受け、公開から3週間経った現在も全世界を席巻中です。
本作がここまで話題になっている要因には映画の内容、結末を観客それぞれが如何様にも解釈できるという面白さにあります。ハッキリとした正解が用意されていないシーンが多々あるため本作には多くの謎が残されていますが、撮影監督のローレンス・シャーが/Filmのインタビューの中で、これまで語られなかったある一つの大きな疑問について正解を語ってくれました。
ホアキン・フェニックスが天才的なまでの演技力で演じきったアーサー・フレック。本作をややこしくも魅力的なものにしているのが、アーサーに妄想癖があるという設定です。
アーサーは同じアパートの隣に越してきた女性ソフィーとデートを重ねたり、入院中の母親を2人で見守ったりと仲の良い様子が描かれていましたが、途中でそれは全てアーサーによる妄想だったことがわかります。
勝手にソフィーの部屋を訪ね、部屋のソファーに腰を落とすアーサー。部屋に入ってきたソフィーはアーサーを見つけると驚きのあまり悲鳴をあげます。「アーサー…でしょ?確か隣の…部屋を間違えてるわ」アーサーはソフィーの言葉を聞くと立ち上がってソフィーを一瞥して部屋を出て行きます。自室に戻ると外からはパトカーのサイレンの音が聞こえるのでした。
このパトカーの音を聞くに、アーサーが(妄想の中の)恋人ソフィーを、殺してしまったかのようにも受け取れるこのシーン。ファンの間では多くの議論が交わされている謎の一つですが、はたしてソフィーはどうなったのでしょうか。
「アーサーとソフィーの関係は妄想でした。”彼女は殺されたんですか?”と聞いてきた方もいますね。トッド監督は、彼女は殺されなかったことを明らかにしています。アーサーが殺すのは、ある決まった形で、彼を虐待した人たちです。ソフィーは決してアーサーを虐待したわけではないですから。」
と、ソフィーが生きていることを明らかにしたローレンス・シャーは、同時に『ジョーカー』の何が真実で何が妄想なのかを見分けることは難しいように作っていると語りました。
「映画前半のシーンとそれが妄想だったことが明らかになるシーンがありますね。そしてシーンに共通するイメージをヒントとして残していますが、それ以外はみなさんが議論できて、それぞれの結論にたどり着けるのが良いと思っています」
トッド監督やホアキン・フェニックスも同様に、この映画の解釈が観客それぞれによって違うことが面白いと語っています。
source : /Film