「国王とヒーロー…2つの顔をもつ男。」
『ブラックパンサー』は2018年に公開された映画で、MCU(Marvel Cinematic Universe)の中では『マイティ・ソー / バトルロイヤル』に続く18作目の作品になります。
MCUの中での位置付けはフェーズ3、時系列は『シビル・ウォー / キャプテン・アメリカ』の後の話になっています。ブラックパンサー自身も『シビル・ウォー / キャプテン・アメリカ』ですでに1度登場しています。
制作費は2億ドル、世界興行収入は13億5千万ドルでした。
ちなみに2018年に映画が禁止された国・サウジアラビアで35年ぶりに映画館がオープン、『ブラックパンサー』が初上演作品になりました。
※ここからは『ブラックパンサー』の内容を丁寧に解説してまとめています。もちろんネタバレありです。
主な登場人物
ティ・チャラ(ブラックパンサー) / チャドウィック・ボーズマン
超科学力を持つ国ワカンダの国王。ハーブで強化された体とヴィヴラニウム製のスーツを着て戦う。『シビル・ウォー / キャプテン・アメリカ』で父である先代国王ティ・チャカを失った。
チャドウィック・ボーズマンはアメリカ出身の1976年生まれ。文武両道で特にバスケが超上手かったとか。
ナキア / ルピタ・ニョンゴ
ティ・チャラの幼馴染で元恋人。ティ・チャラはまだナキアのことが好きな様子。現在は世界の弱者を救うために国外でスパイ活動をしている。
ルピタ・ニョンゴはメキシコ出身の1983年生まれ。父親はケニアの元医療大臣。
シュリ / レティーシャ・ライト
ティ・チャラの妹にして天才科学者・発明家。
レティーシャ・ライトはイギリス出身の1993年生まれ。ワンダーライトマガジン2015でこれから最注目の人物「ベスト・オブ・ネクスト」に選ばれる。
オコエ / ダナイ・グリラ
ワカンダの国王親衛隊「ドーラ・ミラージュ」の隊長で「王族に仕えることが使命」という高い忠誠心を持つ。
ダナイ・グリラはアメリカ出身の1978年生まれ。英語、フランス語、ショナ語、カーサ語の4言語が話せる。名前のダナイはショナ語で「お互いを愛する」という意味。
ウカビ / ダニエル・カルーヤ
ワカンダに住むボーダー族のリーダー。ティ・チャラの親友でありオコエの恋人。ワカンダの閉鎖的な姿勢に不満を抱いている。
ダニエル・カルーヤはイギリス出身の1989年生まれ。2017年に公開された『ゲット・アウト』で主演を務めアカデミー賞、ゴールデングローブ賞、全米映画俳優組合賞、英国アカデミー賞の全ての主演男優賞にノミネートされる。
エムバク / ウィンストン・デューク
ワカンダの山奥に住むジャバリ族のリーダー。他の種族と違って王家を嫌っているが自分の負けを認める潔さと借りはきちんと返す義理堅さも併せ持つ。
ウィンストン・デュークはトリニダード・トバゴ出身の1986年生まれ。ナキア役のルピタ・ニョンゴとは演技学校以来の友人。
ティ・チャカ / アタンドワ・カニ(ジョン・カニ)
先代のワカンダ国王にして先代ブラックパンサー。『シビル・ウォー / キャプテン・アメリカ』のウィーンでのソコヴィア協定署名式で命を落とす。
アタンドワ・カニは南アフリカ出身の1984年生まれ。アタンドワ・カニが青年期のティ・チャカを、父親のジョン・カニが死後のティ・チャカを演じている。
ウンジョブ / スターリング・K・ブラウン
ティ・チャカの弟でティ・チャラやシュリにとっては叔父にあたる。アメリカでスパイ活動をしている。
スターリング・K・ブラウンはアメリカ出身の1976年生まれ。アフリカ系アメリカ人で初めてゴールデングローブ賞男優賞を獲得。
エヴェレット・ロス / マーティン・フリーマン
『シビル・ウォー / キャプテン・アメリカ』で対テロ共同対策本部の副司令官を務めていた。今作ではティ・チャラと再会した後ワカンダでの騒動に巻き込まれていく。
マーティン・フリーマンはイギリス出身の1971年生まれ。ベジタリアンで左利き。
エリック・”キルモンガー”・スティーブンス / マイケル・B・ジョーダン
元アメリカの秘密工作員で、世界各地で暗殺を繰り広げてきた。大勢の人間を殺してきたことから“死の商人”を意味する“キルモンガー”の異名を得た。
マイケル・B・ジョーダンはアメリカ出身の1987年生まれ。2011年の「もっともセクシーなTV俳優」では80位と微妙すぎるランク付けをされる。
ユリシーズ ・クロウ / アンディ・サーキス
ワカンダで発掘される最強の金属「ヴィヴラニウム」の密輸を企て、アフリカのブラックマーケットを仕切っている武器商人。『アベンジャーズ / エイジ・オブ・ウルトロン』でウルトロンに切断された左腕にはアームキャノンが仕込まれている。
アンディ・サーキスはイギリス出身の1964年生まれ。『ロード・オブ・ザ・リング』のゴラム、『GODZILLA』のゴジラ、『キングコング』のコングなどを演じたモーションキャプチャーマスター。
ストーリー解説
最強の金属ヴィヴラニウムとワカンダ王国の誕生
遥か昔、地球にヴィブラニウムと呼ばれる鉱石で出来た隕石が落ちてきました。やがてアフリカで5つの部族が戦争を始めますが、一人の戦士がヴィブラニウムの影響を受けた特殊なハーブを摂取したことから超人的な力を持つ「ブラックパンサー」となりました。彼の下に4つの部族が集まってワカンダ国が生まれましたが、そのうちのジャバリ族だけは参加せず、山奥に姿を隠してしまいました。
それから何世紀も経ち、ワカンダは表向きは発展途上な貧しい国、ですが内部は超高度な科学技術を持つ超文明大国になりました。1992年、当時のティ・チャカ国王は、カリフォルニア州オークランドにスパイとして潜入していた弟のウンジョブを訪ねます。 ですがウンジョブはアメリカで貧しい暮らしをしている同じアフリカ人種を救おうと、祖国ワカンダの資源ヴィヴラニウムを武器商人クロウに横流ししていたのでした。
ワカンダを裏切ったことを知られたウンジョブは、二重スパイとしてウンジョブの行動を報告していたパートナーのズリを殺そうとしますが、ティ・チャカがそれを阻止、ウンジョブは事故死の形で死んでしまいました。
ティ・チャラがワカンダの王位を継承
それから24年後の2016年、『シビル・ウォー / キャプテン・アメリカ』でヘルムート・ジモが起こした爆破テロによってティ・チャカが死亡、息子のティ・チャラが新国王に即位する儀式が行われます。その儀式とは、特殊な水によってハーブの力を失い普通の肉体に戻った状態で、挑戦者と王位を賭けて戦うというものでした。そしてティ・チャラの前にジャバリ族のリーダー、エムバクが挑戦者として立ちはだかりますが、ティ・チャラは戦いに勝利して国王となりました。
クロウを追って釜山へ。暴かれるワカンダの秘密
それからしばらくして、エリック・スティーブンズという男がクロウと協力してロンドンの博物館を襲撃し、展示されてあったヴィヴラニウムを盗み出しました。クロウは30年以上ワカンダからの追跡を逃れヴィヴラニウムを闇取引していたのでした。ティ・チャラはクロウ逮捕のため、親衛隊長オコエ、幼なじみの恋人ナキアを連れ、裏取引が行われている韓国の釜山へと向かいます。
取引現場となったカジノ場で同じく潜入していたCIAのエヴェレット・ロス捜査官と協力してクロウを捕らえたティ・チャラでしたが、取り調べ中クロウはワカンダが本当は超文明大国であること、そしてヴィヴラニウムが豊富に採れる国であることをバラしてしまいます。
そしてその瞬間、クロウを救出に来たエリックの襲撃を受けてロスは致命傷を負い、クロウは脱走します。ティ・チャラはワカンダの医療技術ならロスを救えると判断して、ロスを連れてワカンダへ帰国しました。
エリックの過去と正体
クロウを救出したエリックは、その後クロウを殺害、ワカンダにやって来ます。彼は手土産としてクロウの亡骸を引き渡し、国王との謁見を求めました。そして彼の唇の裏には王位継承の権利がある証が刻まれていました。
ティ・チャラはエリックの正体についてズリに尋ねました。そして彼の本名はウンジャダカといい、亡きウンジョブの息子、つまりティ・チャラの従兄弟であることが明らかになったのです。ウンジャダカは父を失った後、兵士として育ちキルモンガー(死の商人)と呼ばれるようになり、祖国ワカンダの技術と武器をもって世界中のアフリカ系民族を迫害から救うために王位を求めて帰還したのでした。王位継承権を持つエリックの挑戦を受け、再び儀式が行われます。
戦いの結果エリックが勝利し、ティ・チャラを谷底に突き落とされてしまいます。新たな王となったエリックは、ハーブの力で超人的な肉体とブラックパンサーのスーツを手に入れると、残るハーブを全て焼き払い、ワカンダの武器を全世界の同胞へ輸送するよう命じるのでした。
ティ・チャラの復活、そして決着へ
ハーブが焼き払われる直前、ナキアがこっそりとハーブを1つだけ入手していました。そしてナキア、シュリ、ティ・チャラの母ラモンダ、そして一命をとりとめたロスは王宮を脱出し、山奥のジャバリ族のエムバクを訪ねます。このオーブを使って、亡きティ・チャラに代わって王座を取り戻してほしいと頼むと、エムバクは川から流れてきた瀕死状態のティ・チャラを拾い、雪で仮死状態になって保護されていたのでした、最後のハーブによって息を吹き返したティ・チャラはエリックを倒すべく、再びスーツを着用します。
ワカンダの最新兵器を世界に向けて発進させようとするエリックの前に立ちはだかるティ・チャラ、シュリとナキア、そしてドーラ・ミラージュ。ロスはシュリのサポートを受けてジェットを遠隔操縦して兵器を搭載した輸送機を撃墜していきます。さらにエムバク率いるジャバリ族が援護に加わったことで地上戦は制圧しました。
ティ・チャラとエリックの二人のブラックパンサーによる戦いはティ・チャラの勝利、戦いに終止符が打たれます。エリックは治療を拒んで自由ある死を選択し、この世を去りました。
全てが終わり、ティ・チャラはオークランドを訪れ、ウンジョブと息子のウンジャダカが住んでいたアパートを買い取り、支援センターを作ることをシュリに語ります。さらにティ・チャラは国連の演説で、ついに表向きは発展途上国であるワカンダの全ての秘密を明らかにするとともに、世界を支援していくことを発表します。
そしてワカンダに匿われて治療されていたホワイトウルフことバッキーが目を覚ますのでした。
今後のために押さえておきたいポイント
- ・ワカンダ王国が発展してきた背景には、最強の金属ヴィヴラニウムという資源が豊富にあることが挙げられます。これはキャプテン・アメリカの盾やアイアンマンの装甲にも使われています。
- ・これまで鎖国国家だったワカンダが今作から開国することになりました。このことが後の作品『アベンジャーズ / インフィニティ・ウォー』に繋がっていきます。
- ・『シビル・ウォー / キャプテン・アメリカ』のラストで洗脳が溶けるまで冷凍保存されることを選んだバッキーは、ワカンダでシュリの治療を受けていました。そして無事に洗脳は解けて復活しました。
MCUの次の作品は『アベンジャーズ / インフィニティ・ウォー』です。