満を持しての公開となったクリストファー・ノーラン監督最新作『TENET テネット』。皆さんはもうご覧になりましたか?鑑賞後には、おそらく多くの方が「難しい!」と思ったのではないでしょうか。
実際『TENET テネット』は一度見ただけでは内容を理解することは難しい作品だと思います。主演のジョン・デイヴィッド・ワシントンですら「未だに全体を説明できない」という難解ぶり。筆者自身、2度目を観て理解度は70%と言ったところでしょうか。つまりは何度も映画館に足を運ぶたびに新たな発見が楽しめる奥深い作品ということ。本記事では『TENET テネット』をまだ理解できていない人向けに、ちょっとしたヒントをお伝えしようと思います。
※本記事では『TENET テネット』本編の内容について触れています。
まず『TENET テネット』を理解するうえで確認しておきたいのは登場する様々な名前について。この名前を理解するヒントは「Sator Square」と呼ばれるラテン語の回文(逆から読んでも同じ文になる言葉のこと)にあります。「Sator Square」はイタリアのヘルクラネウムの遺跡やシリアのドゥラ・エウロポス遺跡など様々なところで見つかっている世界最古の回文と呼ばれているもので、1世紀中頃から存在していたとされています。
そして実際の「Sator Square」がコチラ。
「SATOR AREPO TENET OPERA ROTAS」という言葉が5×5の正方形に並んでおり、左上から読んでも右下から読んでも、さらに横に読んでも縦に読んでもすべて「SATOR AREPO TENET OPERA ROTAS」と読める完璧な回文です。そしてお気付きの通り、これらの言葉は本編に登場しています。
SATOR(セイター) 意味:農園主、創設者
ケネス・ブラナーが演じたセイターは、ロシアの武器商人であり、現在と未来を仲介して莫大な利益を築いていました。
幼少期に、”地図にない町”スタルスク12でプルトニウムを探している最中、セイターは未来人からのメッセージであるタイムカプセルを拾います。それからセイターは未来人からの命令を受けて、9つのアルゴリズムを集め、世界全体の時間の流れを逆行させることで現代人を絶滅させることを目論んでいたのだと思われます。
その見返りにセイターはタイムカプセルという形で未来人から大量の金塊を受け取っていました。
AREPO(アレポ) 意味:アレポ(人の名前)
『TENET テネット』の作中では、ゴヤの贋作を作った優れた画家トマス・アレポとして名前だけ登場していました。セイターがこのアレポの贋作を落札していましたね。
TENET(テネット) 意味:保有する
映画のタイトルでもあり、本作における重要な作戦名でもありました。ラテン語では”保有する”という意味がありますが、英語では”主義”と訳されていましたね。
「TENET」は、ジョン・デヴィッド・ワシントン演じる名もなき男がアルゴリズムの使用を阻止するために未来で結成した組織、および作戦名のこと。未来の名もなき男やニール達も時間を逆行して現代へと送り込まれていました。
正直、全てを意味を理解できていないのですが、「TENET」はSator Squareでは全ての単語に必ずかかってくる言葉です。つまり全ての人物や出来事の中心にあるもの、アルゴリズムを使って現代人を消滅させたいという未来人とそれを阻止しようとする未来人、2つの主義を象徴しているのではないでしょうか。
OPERA(オペラ) 意味:働く
本作の冒頭でテロ(偽装)が行われた場所がウクライナの首都・キエフにあったオペラハウスでした。名もなき男が9つのアルゴリズムのうち、最後の一つを回収し、時間の逆行の存在を初めて知った場所です。
ROTAS(ロータス) 意味:車輪、回転
タックスヘイブンとして絵画などの希少品を管理する”フリーポート”を管理運営する会社「ロータス社」として登場しました。そこには時間を逆行する”回転”ドアがありました。
まだまだ多くの謎が残る複雑な作品『TENET テネット』。皆さんはどれぐらい理解できましたか?