ディズニーの実写版映画『ムーラン』が、2020年9月4日にディズニーのストリーミングサービス「Disney +」で配信されることが明らかになりました。Deadlineや各メディアが報じています。
当初『ムーラン』は2020年3月27日にアメリカで公開予定でしたが、新型コロナウイルスの影響により、世界規模で劇場公開の延期を決定。その後、7月24日に公開予定と告知されるも、6月下旬には8月21日へと再延期、そして7月下旬には無期限の延期が発表されていました。
ウォルト・ディズニー・カンパニーのCEOボブ・チャペック氏は、『ムーラン』を9月4日にアメリカ、カナダ、オーストラリアや西ヨーロッパ諸国などDisney +のサービスを提供している国で「プレミアム配信」することを発表しており、価格は30ドル。これは通常の月額料金とは別で、追加料金として支払うものになります。また中国などDisney +のサービスを提供していない国では、営業が再開している映画館にて同時公開も行われる見通しです。
チャペック氏は今回の発表について「公開を何度も延期しなければならなかったので、『ムーラン』を待ち望んでいた消費者の皆様にようやくお届けできることを嬉しく思います。」と述べたうえで「私たちは『ムーラン』(のリリースを)一回限りのものとして考えています」と付け加えました。
「ご存知のように、消費者の方々が求めているようなクオリティの映画を作るにはかなりのコストがかかります。(Disney +という)独自のプラットフォームは、単純に映画を無料で提供するのではなく、何でもテストできる環境であると考えました。私たちは(映画への)投資を回収するために、新たにプレミア・アクセスの窓口を設け、そこから学ぶ機会を得ようとしています。プレミア・アクセスをすることですでにDisney +に契約されている皆さんだけでなく、新規加入者を増やすためのかなり大きなきっかけになると思っています。」
『ムーラン』のような大型作品が映画館とストリーミングサービスで同時に公開されるというのは業界初の試みとなります。あくまでも今回のケースは『ムーラン』をDisney +で配信することでのサービス加入者数の増加、そして30ドルという価格設定に対する反応を見るためのテストであり、この劇場とDisney +での同時公開という形が今後のディズニーの新しいモデルになるわけではないということです。
とはいえ、ディズニーは新型コロナウイルスによる感染拡大による映画館の全面閉鎖という状況を受け、これまで『アナと雪の女王2(2019)』や『スター・ウォーズ / スカイウォーカーの夜明け(2019)』、『2分の1の魔法(2020)』といった大型劇場作品をDisney +で早期リリースし、2020年5月に劇場公開予定だった『アルテミスと妖精の身代金(原題 Artemis Fawl)』の劇場公開を諦めて直接Disney +でデジタル配信を行うなど、Disney +という独自のプラットフォームの拡充に努めている印象があります。
ディズニーには今後も『ブラック・ウィドウ』や『ソウルフル・ワールド』、2021年にも多くの注目作の公開が控えているため、今回の『ムーラン』のリリースに対する反応、そして今後の新型コロナウイルスの感染状況によってはこのモデルが「1回限り」ではない可能性も十分に考えられます。またこのモデルによって『ムーラン』を上映するはずだった映画館の収益にも大きな影響が出ることは間違いありません。ユニバーサル・ピクチャーズと大手映画館AMCが独自の戦略を打ち出したように、今後のディズニーの動きにも注目したいところです。
なお、日本での『ムーラン』公開日は現時点では未定、Disney +でのリリースも対象に含まれているのかは不明です。
source : Deadline