※本記事は『ファルコン&ウィンター・ソルジャー』本編の内容について触れています。
Disney+で配信中のMCU(MARVEL CINEMATIC UNIVERSE)ドラマ作品『ファルコン&ウィンター・ソルジャー』第5話に登場した新キャラクター、ヴァルことヴァレンティーナ・アレグラ・デ・フォンテーヌ。原作コミックを知る人にとって、彼女の登場は今後のMCUの方向性を大きく示唆していると考えることができます。本記事ではその方向性について考察しています。
2代目キャプテン・アメリカに任命されたジョン・ウォーカーは、『ファルコン&ウィンター・ソルジャー』第4話で、友人の死をきっかけに怒り、一般人が見ている中、敵を感情にまかせて嬲り殺しにしてしまいます。その行為は赦されるものではなく、政府はジョンからキャプテン・アメリカとしての権利を剥奪。ジョン自身も軍を不名誉除隊となり、階級は失効、給付が支払われることもありません。そんな失意に暮れるジョンのもとに現れたのがヴァルでした。
ジョンが超人血清を打ったことを知るヴァルは「あなたはある人々にとって大きな価値のある存在になった」と言い、「この国には隠し事がある。政府じゃなくて、法的なグレーゾーンにね」と言い残し、何も書いていない名刺を渡して去って行きます。
このヴァル、ヴァレンティーナ・アレグラ・デ・フォンテーヌは原作コミックでは、当時S.H.I.E.L.D.のエージェントだったニック・フューリーと恋に落ちるも、実はロシアのスパイであり、S.H.I.E.L.D.を裏から操ろうとする「マダム・ヒドラ」というキャラクターとして紹介されていました。
Vanity Fairによれば、ヴァルはもともと『ブラック・ウィドウ』で登場する予定だったとのこと。コロナ禍のためにスケジュールが変更となり、本作が初登場となってしまったため、『ブラック・ウィドウ』での登場が残っているかどうかはわかりません。ですが、ヴァルがジョンに接触したように、『ブラック・ウィドウ』でも同様の行動を起こしていた可能性があります。それはヴィランによるチームアップのためではないでしょうか。
現在考えられるチームとしては「サンダーボルツ」、あるいは「ダーク・アベンジャーズ」のどちらかでしょう。サンダーボルツはウィリアム・ロス長官によるヴィランチームですが、ロス長官は『ブラック・ウィドウ』に登場することが明らかになっており、ヴァルが何らかの繋がりを持って”メンバー集め”に加担している可能性も十分に考えられます。
ダーク・アベンジャーズはマーベル・コミック史上最強のヴィランチームで、「シークレット・インベージョン」騒動の後に、アベンジャーズを解散した政府に代わって、『スパイダーマン』でおなじみのノーマン・オズボーンが立ち上げたチームです。メンバーにはロキやドクター・ドゥーム、ヴェノムなどが名を連ねていますが、20世紀フォックスを買収し、さらにSPUOMC(Sony Pictures Universe of Marvel Characters)とのクロスオーバーも示唆されている現在のマーベル・スタジオなら実現可能のチームです。(ノーマン・オズボーン登場の可能性については過去に考察しています。)
もしもマーベル・スタジオが「ダーク・アベンジャーズ」を実現する方向で動いているのだとすれば、そのメンバーはすでにこれまでの発表の中で明らかにされている可能性があります。
ニック・フューリーとしてのヴァル
まず、『ファルコン&ウィンター・ソルジャー』以外の作品にも、”メンバー集め”という同様の役割で登場する可能性のあるヴァルはニック・フューリーの立ち位置でしょう。原作ではノーマン・オズボーンがその立ち位置だったため、現時点ではノーマンの代理という立場かもしれません。
キャプテン・アメリカとしてのジョン・ウォーカー
そして『ファルコン&ウィンター・ソルジャー』で超人血清を打ったジョン・ウォーカー。スーパーヒーローとしての地位を剥奪されたジョンは、ヴァルから黒いコスチュームを与えられ、「U.Sエージェント」という名前で呼ばれていました。「戻った!」と再び自分が必要とされることに心躍らせるジョンですが、その存在意義は明らかにされていません。
ブラック・ウィドウとしてのエレーナ・ベロワ
『ブラック・ウィドウ』でナターシャの”妹分”として登場予定のエレーナですが、原作コミックではナターシャを殺すために送り込まれたヴィランでした。MCU版でどの程度、コミックの設定が反映されるのかはわかりませんが、『ブラック・ウィドウ』での出来事の後、暗殺者としての腕を見込まれたエレーナにヴァルが近づく可能性も十分に考えられます。(ヴァルも原作コミックではロシアの元スパイでした。)
ハルクとしてのエミル・ブロンスキー
『インクレディブル・ハルク(2008)』のヴィランとして登場したティム・ロス演じるエミル・ブロンスキーですが、現在制作中のMCUドラマ『シーハルク(原題 She-Hulk)』に再登場することが明らかになっています。超人血清の混じったブルースの血液を利用して“アボミネーション”へと変貌したエミルがどのようにして復帰するのかはわかりませんが、収監されていることは間違いありません。ヴァルの手引きによって外に出てくるのでしょうか。
可能性は低いかもしれませんが、他にも『ワンダヴィジョン』で登場したアガサ・ハークネスやホワイトヴィジョンが、それぞれワンダやヴィジョンの立ち位置でダーク・アベンジャーズに加わるという可能性もあるかもしれません。いずれにせよMCUフェーズ4で、サンダーボルツやダーク・アベンジャーズといったヴィランのチームアップの準備が着々と行われているのではないでしょうか。
source : Vanity Fair