アメコミ界屈指のヴィラン、ジョーカーの誕生を描いたDCコミックス原作の『ジョーカー』は、これまでのいわゆる「コミック映画」の概念を覆す内容で話題となり、公開から10日近く経った現在、すでに全世界で3億ドルの興行収入を記録しています。
DCコミックス映画史上「最も成功した映画」になりそうな本作は、他の作品と繋がっている共通の世界を描く”ユニバース”ものではなく、独立した世界感をこれまでにない解釈で描いており、本作を観終わった後、観客の皆さんはそれぞれが様々な解釈をすることになるでしょう。2回の鑑賞を終えた僕はそれがこの映画のいいところではないかと思っています。
そんな中『ジョーカー』でトーマス・ウェインを演じたブレット・カレンが、作中で明らかにされなかったある重要な疑問について真実を明らかにしました。The Hollywood Reporterが報じています。本記事が『ジョーカー』をご覧になった方の、物語を解釈する手助けになれば幸いです。
※本記事は『ジョーカー』本編の内容について触れています。まだ本編をご覧になっていない方はご注意ください。
トーマス・ウェインとペニーの関係の真実とは
アーサー・フレックは母親のペニーと2人で貧しい生活を送っていました。そんなペニーはある希望を胸に、自宅のアパートの郵便受けに届くはずの手紙を毎日待っています。それはかつて自分がウェイン家で働いていた時の主人トーマス・ウェインへ宛てた手紙の返事であり、「いい人」であるトーマスなら苦しい自分たちをきっと助けてくれるとペニーは信じていました。
そんなペニーの希望にすがるようにトーマスからの手紙を待つ息子のアーサーでしたが、ある日ペニーがトーマスに宛てに新たに書いた手紙を読むと、そこには自分がペニーとトーマスとの間にできた子供であるいう文を発見するのでした。怒ったアーサーがペニーを問い詰めると、屋敷で仕えていた時にトーマスと関係を持つことになり、その時にできた子供が自分なのだと聞かされます。また、若い頃のペニーの写真の裏には「君の笑顔が好きだ T.W」というメッセージも記されていました。
アーサーは真実を知るためにトーマスを直接問い詰めるも、トーマスはそんな事実はないと否定、さらにはアーサーはペニーが迎えた養子に過ぎないと言い放ちます。アーカム州立病院に残された記録にもアーサーはペニーが迎え入れた養子であると記録されていました。
トーマスとペニーの関係は彼女のただの妄想なのか、それともトーマスが嘘をついて権力でその事実を揉み消しているのか。結局その真実は語られることはなく、アーサーの父親についてもわかっていません。
この謎について、トーマス・ウェインを演じたブレット・カレンはトッド・フィリップス監督に直接聞いたことがあるそうです。
「裏設定としては、アーサーの母親はトーマスのために、彼の屋敷で働いていましたが、美しい女性である彼女にトーマスは惹かれていき、そして肉体関係を持ったんです。その後、彼女は精神病院に出たり入ったりしていますが、私はトーマスが彼女をそこに入れたんじゃないかと考えています。」
つまり、ペニーとトーマスの間に関係があったことは事実で、ペニーを「ただの使用人だった」と言うウェインは嘘をついていることがわかりました。ですが、アーサーが必ずしもトーマスとペニーの子供であるとは限りません。アーサーには妄想癖がありますよね?ペニーがトーマス宛に書いた手紙を読んだのはアーサーです。つまり僕ら観客が見た手紙の内容はアーサーの主観、妄想で生み出されたものである可能性があります。
トッド・フィリップス監督は続編の予定については考えておらず「これで終わりです」とコメントしています。ただホアキン・フェニックスの方は、今回演じたアーサー・フレックという役が「人生において特別なものになった」と、今後もジョーカーを演じる気はあるようですがはたして…?
source : The Hollywood Reporter
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