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2月13日更新[マーベル・徹底考察]『ワンダヴィジョン』作中内のCMに隠された意味とは

マーベル・スタジオから満を辞して配信開始となったMCU(MARVEL CINEMATIC UNIVERSE)ドラマ『ワンダヴィジョン』。往年のシットコムを踏襲する、これまでにない独特のスタイルで展開されている本作ですが、毎エピソードの途中にオリジナルのCM映像が挟まれているのですが、このCMにはどのような意味が込められているのでしょうか。

以前マーベル・スタジオ代表のケヴィン・ファイギ氏は、以前Comicbook.comにてこのCMについてこのように言及。

「コマーシャルを挟むというのは『ワンダヴィジョン』の初期のアイデアでした。これはもしマーベルやMCUを初めて観る人にとっては、50年代や60年代の奇妙なコマーシャルに見えるでしょう。ですがこれまでのMCUの映画を全部見てきた人にとっては、これらのコマーシャルが何を意味しているのかを繋ぎ始めることができるかもしれません。」

つまりこのCMがただの遊び目的の演出ではないことがわかります。

この記事を執筆している現時点(2021年1月27日)では、『ワンダヴィジョン』の配信エピソード数は3話。今のところこの物語は、『アベンジャーズ / エンドゲーム(2019)』の後、ヴィジョンを失った悲しみからワンダが生み出した別の現実(現実逃避による妄想?)を描いており、これらのCMはワンダの潜在意識の中にある「本当の現実」を映していると考えられます。以下でこれまでのCMの内容と意味について考察していきます。

※本記事の考察は毎話毎に更新していきます。

SPOILER ALERT!

本記事は『ワンダヴィジョン』本編の内容について触れています。

第1話 トーストメイト2000

トニー・スタークの父、ハワード・スタークが設立したスターク・インダストリーズの新商品として紹介されている「トーストメイト2000」。ハワードが1940年に会社を創業したことを考えると実際に50年代にこのCMが流れていた可能性もありますが、これがワンダの潜在的な意識によるものだとすればそこには多くの意味が隠されています。

アベンジャーズ : エイジ・オブ・ウルトロン(2015)』で初登場したワンダと双子の弟ピエトロが、アベンジャーズを憎んでいたのは幼少期の出来事によるトラウマからでした。スターク・インダストリーズの作った爆弾が当時10歳だった2人の住むアパートに落ち、両親は死亡。2人は残りの爆弾がいつ爆発するか知れない恐怖の中、2日間瓦礫の中で怯えながらじっと過ごしていました。

コマーシャルの中で女性がパンをセットすると、ランプだけが赤く光りタイマー音が聞こえ始めます。そしてその音はまるで時限爆弾のように早くなり、女性はパンが焼き上がるのをじっと待っています。さらに「トーストメイト2000」という名前ですが、2000というのはワンダが産まれた年である可能性があります。(『アベンジャーズ / エイジ・オブ・ウルトロン』作中でクリントがワンダに「高校に行ける」と言っていたことから当時のワンダは15歳前後。『エイジ・オブ・ウルトロン』は2015年の設定のため2015 – 15と仮定するとワンダは2000年産まれ)

キャッチコピーは「Forget the past, this is your future!(過去は忘れよう。これが未来です)」



第2話 ストラッカーの腕時計

「男のおしゃれに必要なアクセサリーは2つ。特別な女性。そしてストラッカー」という謳い文句と共に紹介されるストラッカーというブランドの腕時計。文字盤をよく見るとHYDRAという文字とロゴマークが確認できます。

ストラッカーとは『アベンジャーズ / エイジ・オブ・ウルトロン』序盤に登場したヒドラ残党のバロン・ストラッカーのこと。マインド・ストーンがついたセプター(杖)を使った人体実験により、ワンダとピエトロに特別な力を与えましたが、同時に肉体的にも精神的にも多くの苦痛を与えました。

「Strucker. He’ll make time for you.」というキャッチコピーは字幕では「ストラッカーは常に時を刻む」と訳されていますが、直訳すると「ストラッカーはあなたのための時間を作る」という意味に。つまりストラッカーにとってソコヴィアでの人体実験におけるワンダとピエトロは特別なものだったということを意味しているのかもしれません。



第3話 ヒドラ・ソーク

子ども達が遊んでいたボールが自分のコーンフレークに直撃したり、料理が黒焦げになったりと家事や育児に翻弄される女性。そんなストレスを抱えた女性に対して「一休みしたい?」と語りかけるナレーション。

場面が変わると女性は優雅に泡風呂に浸かって幸せそうな表情を浮かべています。そこで語られるナレーションは「すべてを水に流し、自分だけの世界に浸れます。家にいながら安らぎのひと時を。」というものですが、原文を直訳すると「When you wanna get away, but you don’t wanna go anywhere.(逃げ出したいけれど、どこにも行きたくない時に)」となります。「全てを水に流し、自分だけの世界に浸れます」とは、愛する人ヴィジョンを失った悲しみから逃げ出したいというワンダの心境を表すフレーズでしょう。「逃げ出したいけれど、どこにも行きたくない」とは、第3話のラストで明らかになるように、ウエストビューの町に閉じこもってしまったワンダの心境を示しているのかもしれません。

そして今回の商品である入浴剤の「ヒドラ・ソーク」。青い立方体の形は、ヒドラに深く関係のあるテッセラクト(『キャプテン・アメリカ / ザ・ファースト・アベンジャー』)参照にそっくりです

 

第4話 CMなし

第4話ではCMが挟まれていませんでした。

第5話 ラゴスの紙タオル

2人の子供がジュースをこぼし、母親がその後始末をするというCM。そこで紹介されているのが「ラゴス」というブランドのキッチンペーパーです。

「ラゴス」とは『シビル・ウォー / キャプテン・アメリカ(2016)』の序盤で登場した土地の名前で、現実に実在するナイジェリアの都市です。

『シビル・ウォー』でワンダ、キャプテン・アメリカ、ブラックウィドウ、ファルコンの4人は、ヒドラの残党であるブロック・ラムロウの企みを阻止するためにラゴスへ向かいました。交戦の末に、ラムロウはキャプテン・アメリカを巻き込んでの自爆を試みますが、ワンダは能力を使ってこれを食い止めます。ところがその結果、無実の一般人を爆発に巻き込んでしまうことになりました。

この出来事にワンダは強いショックを受けるとともに、アベンジャーズ内での分裂を引き起こす原因となる「ソコヴィア協定」が提案されるきっかけとなりました。

CMのキャッチコピーは「好きで失敗したんじゃない」。まるでキッチンペーパーで拭き取ってしまいたいようなワンダの過去を表していると考えられます。



第6話 ヨーマジック

『ワンダヴィジョン』のCMでは初となるクレイアニメーションによるCM。無人島に漂流した空腹な子供に、サメが「ヨーマジック」という商品を与えますが、子供はその「ヨーマジック」のフタを開ける事ができずに白骨化してしまいます。そして最後はサメが「ヨーマジックを食べて生き延びな」と言って終わるという、なんとも救いのない内容になっていますがこのCMにはどのような意味が隠されているのでしょうか。

ポイントは「ヨーマジック」という商品名が「Yo Magic = Your Magic」と呼べるということにあります。つまりサメの最後のセリフは「お前の魔法を使って生き延びな」というメッセージであることがわかります。マインド・ストーンによるスーパーパワーという”魔法”を与えられたにも関わらず、それを上手く扱うことができずにいるワンダを表しているのかもしれません。「ヘックスがどうやった始まったのか分からない」と明らかにした第6話本編の内容にも当てはまりますしね。

これまでのCMシリーズはワンダの過去にあった出来事を古い順から示唆した内容になっています。「ヨーマジック」のCMが、ワンダにとってより最近の記憶を表しているとすれば、ワンダに「お前の魔法を使って生き延びな」と唆したサメがどこかに存在しているのかもしれません。

いかがでしょうか?これまでのCMは、いずれもワンダの過去のトラウマと関係のある出来事でした。個人的にはこのCMに共通して出演している男女はワンダの両親ではないかと推測しています。

謎が深まっていく『ワンダヴィジョン』からますます目が離せません!引き続きCMにも注目していきましょう!

※本記事の考察は毎話毎に更新していきます。

source : Comicbook.com

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